レッツ&ゴーのホァンと、レジェンズのズオウのクロスオーバーものを書いてみました。ホァンの設定は、世界グランプリが始まる直前くらいの設定です。ズオウは全然本編と違う設定になっていますが、性格や喋り方は同じだと思って読んでみてください。
登場人物
ホァンです。中国の山奥で、ひっそりとミニ四駆を楽しむ12歳の少年。
ズオウです。白い毛で覆われたビッグフット。
中国北西部のとある村。
その村は、岩肌が剥き出しになった山で囲まれ、その山に寄り添うように小川がせせらいでいる。
鮮やかな峡谷、透き通る清流。
下界とは遮断されているかのような世界。
そんな大自然の小さな村に、1人の元気よい少年が暮らしていた。
「お父さん、もう出かけるアル!」
「コラ、まだご飯の途中じゃないか!」
石をレンガのように積み重ねて造られた、一軒の家から飛び出した天真爛漫な少年。
少年と呼ぶには、かなり大柄な感じで、お腹がぷっくりと出ている。
長いみつ網を、後ろに伸ばしているのが、特徴的だ。
朝日を浴びて、飛び跳ねるように走っていく。
「ホァン! 待たんか! きちんと村の守り神である
「今日は、大切な友達と会えるかもしれないアル! 急いでいるのことヨ!」
あっという間に見えなくなった元気な少年の姿を見て、少年の父親はフッとため息をつく。
「まったく、勉強もせずに遊びまわって・・。しかし、この村にホァンの友達がいたかのう・・?」
ホァンは走りながらチラッと横に視線を向ける。
そして、乾いた岩肌を見ながら、優しく微笑みかけた。
(光蠍さん、おはようアル!)
──
村の中心にある岩肌に浮かぶ、不思議な模様。
岩肌は東を向いており、朝になると陽の光ではっきりとサソリの形が浮かび上がる。
この模様が、人工的に造られたのか、自然に造られたのかは定かではない。
村の人たちは、毎日光蠍に祈りを捧げ、村の繁栄と安全を祈願していた。
『かつてこの村を守っていた神が、岩肌に描いたモノ』だと、ホァンは幼少の頃に教えられた。
──神が守る村。
ホァンが住む村は、非常にのんびりとしている。
陽が昇ればみな起きて働き、沈めば寝てしまう。
自然に逆らわず、時が流れるままに生きている。
村には2,30人ほどの人が生活しているだけだが、全員が家族のように協力して暮らしていた。
そして、不思議なことに、村にはこれといった天災はなく、悪い出来事もない。
村人たちは、『光蠍が村を守っている』という言い伝えを頑なに信じ、みな祈りを捧げていた。
それが、この村の結束を固め、みなで力を合わせて生活するという原動力になっていたのかもしれない。
「神」と「光蠍」。
ホァンは、幼少の頃からずっと、この神秘的な2つの存在に冒険心をくすぐられていた。
村は、年々過疎化しており、子供はほとんどいなかった。
だから、ホァンは幼少の頃からいつも1人で遊んでいた。
シャイニングスコーピオンというミニ四駆を走らせ、山を駆け、森を歩く。
1人でミニ四駆を追いかけ、岩にぶつかったら、また拾って走らせる。
止まっては走り、止まっては走り・・・それを延々と繰り返す。
そんな一人ぼっちのホァンを見て、不遇な子だと同情を寄せる村人も多かった。
しかし、ホァンは周囲の心配をよそに、非常に明るく、たくましく成長していた。
ホァンの成長を育んだもの・・。
それは、たった1人の友達。
ホァンは、このことを、両親や村人にナイショにしている。
もし、両親に友達のことを話しても、笑われて信じてもらえないと思っていた。
なぜなら、その友達は、人間でないから・・。
"一緒にいると心が暖かくなる存在"。
ホァンは大樹に陽が差し込む中で、その友達と昼寝するのが大好きだった。
まるでその空間が、2人だけのために存在するかのような、深い森の神聖な場所で・・。
R太朗さんにズオウ×ホァンの挿絵描いていただきました〜。ズオウの毛のフサフサ具合がものすごすぎて感謝です!
ホァンが中国にいるのに、どうしてエセ中国人言葉なのかというツッコミはなしでw