ほのぼの系のつもりが、エロくなっていくのはなぜだ〜!
登場人物
ホァンです。中国の山奥で、ひっそりとミニ四駆を楽しむ12歳の少年。
ズオウです。白い毛で覆われたビッグフット。
──ボクが眠りについてから、どのくらい経ったのだろう?
周りは所々に太陽のあかりが差しこみ、まだ暖かく感じる。
どうやら陽は高いようだ。
ホァンは、「うーん」と背伸びをしながら、ゆっくりと瞼を開く。
すると、そこにはホァンの顔を、真上から覗き込むように、ジッと見つめるズオウの姿があった。
ホァンを起こさないように、動かないで膝まくらをしていたのだろうか?
まん丸でクリッとした、ズオウの優しい瞳。
口から、おちゃめな2本の牙を出し、ホァンのことを優しく包んでいる。
「ふぁ〜・・よく寝た・・おはようアル」
「はーい。おはよう!」
相変わらず、体に似合わない女の子みたいなズオウの声。
膝まくらで寝ているホァンを優しく見下ろすように、元気よくズオウが返事をする。
「ズオウは、眠らなかったアルか?」
「ホァンのこと心配。だからずっと見てた。ホァン、かわいい!」
「あ、ありがとうアル」
「てへへ」
「もう少し眠るのことヨ」
そのまま、ホァンが再び瞼を閉じようとしたとき。
ズオウから、予想もしない言葉が発せられた。
「ホァン、チューしよー」
一瞬、ホァンの表情が固まる。
「い、いきなり、どうしたアルか・・?」
「ホァンのこと見てたら、もうがまんできない〜!」
ズオウのあまりに具体的な言葉。
ズオウはいつもそうなのだ。
回りくどい言い方はできないのか、自分のしたいことをストレートに訴えてくる。
ズオウはホァンのお腹の上で、指をトントンと叩きながら、さらにはしゃぐように叫んだ。
「チューしようよー!」
「あの、その・・今日はずいぶん、積極的アルね・・?」
「チュー!!」
「・・・」
ホァンは少し恥ずかしいのか、頬を赤く染める。
別に、ズオウとのスキンシップが嫌いなわけではない。
むしろ、ズオウと戯れることは大好きだし、キスの感触も心地よいのは分かっていた。
しかし、なぜか最近は、とても照れくさくて、恥ずかしく感じるのだ。
ズオウに、自分の体を無防備に触られてしまうことが。
「チュー!!」
「・・・」
「チューしよー!」
子供のようにダダをこねるズオウ。
こりゃ、もうズオウを止められそうもないなと、ホァンは内心、観念した。
「わ、わかったアル。チューするのことヨ」
「わーい!」
バンザイをして喜ぶズオウの姿に、ホァンの心は自然と暖かくなった。
ゆっくりと瞼を閉じ、ほんの少しだけ唇をすぼめる。
ズオウは、膝の上にあるホァンの顔に、上からゆっくりと自分の顔を近づけた。
フーフーッというズオウの鼻息が、どんどん近づいてくる。
その息遣いに、ホァンの心臓はドクンドクンと鼓動が早くなっていく。
キスする瞬間は、いつもドキドキするのだ。
ズオウは、2本の牙を口の中に引っ込めて、ホァンの唇に自分の唇を重ねた。
(ムーニュ!)
(はむっ!)
適度に潤いのある、ズオウの大きな唇。
ズオウの湿った唇は、起きぬけで乾いていたホァンの唇に、暖かい温もりを与えてくれる。
(はむ・・あんっ・・)
ホァンはその心地よい感触に、心臓が高鳴った。
お互いの唇の感触を、確かめ合ったあと・・。
ホァンとズオウは数センチの距離でお互いを見つめ合った。
「ねえ、ホァン〜?」
「な、なにアル?」
「もっとエッチなチューしよー!」
「エ、エッチな・・?」
「てへへ。エッチなチュー!」
「わ、わかったアル。ズオウの好きにするアル・・」
"エッチな"という意味がよく分からなかったが、ホァンはそのまま身をゆだねることにした。
するとズオウは、両手でホァンの頬をしっかりと固定し、力任せにホァンの唇にしゃぶりついてきた。
(ホァン、だいすきーっ! ムチュッ!)
(あむむーーっ! はんわっ!)
ズオウは、大きな唇でホァンの唇に、ブチュッとしゃぶりついた。
ズオウの唇は大きすぎて、ホァンの口がスッポリと中に入ってしまうほどだ。
(はむ・・あんんっ・・)
ズオウは、ホァンの唇をベロベロと舐め、唇をこじあけていく。
そして、ホァンが気を許した一瞬・・。
長くて太くてザラッとしたズオウの舌が侵入し、ホァンの舌に触れた。
(うっ・・はむううっ・・!)
ドロッとするような生暖かい唾液が、舌の感触と一緒に伝わってきた。
そのままズオウの舌は、ネットリとホァンの舌にからまっていく。
そして、2つの舌は交互にその感触を確かめあう。
(ズオウ・・はむっ・・あんっ・・)
ペチャッ、ペチャッという湿った音が、辺りに響き渡った。
得体の知れぬ気持ちよさに、ホァンの目はトロンと溶けそうになる。
しばらく接吻したあと・・。
「はうっ・・ぶはぁ!」
ホァンは、水中に何分も潜った後のように、「ぶはっ」と大きく息を吸った。
「ホァン、気持ちいいー?」
「はぁ・・うん・・また変な気持ちになってきたアル・・ドキドキしてるアルよ」
「もっともっとエッチなチューしよー」
「も、もう苦しいアル・・」
「ごめんなさーい。その代わりに舐めてあげるー!」
そういうと、ズオウは長い舌を使って、ホァンの顔を丁寧に舐め始める。
「ひぃ〜〜」
まるでネコのように、ザラッとした感触のある長い舌。
人間のそれとは、明らかに感触が違う。
ホァンの顔は、あっという間に唾液でベロンベロンにびしょ濡れになる。
「ズオウ、舐めすぎアル〜。今日はどうしたアルか。ものすごい積極的アル」
「えへへ。ごめんなさーい」
手を頭の後ろにやり、ペコリと謝るズオウの姿。
そんな可愛らしい仕草を見ていると、ホァンには反論する気力もなくなっていた。
フウッと大きく息をしたホァン。
少し真面目な感じの声で、ズオウに話しかけた。
「ねぇ、ズオウ?」
「なに?」
「実は、今日は話したいことがあって、ここに来たアルよ」
「僕も、話したいことある」
「じゃ、ズオウのほうから先に話して欲しいことヨ」
「ダーメ。ホァンから話してー」
「・・わかったアル」
ホァンは、ズオウの優しい顔をしばらく見つめた後、ゆっくりと話を切り出した。
「ズオウ、実はボク・・・しばらく村を離れるアルよ」
「えー!!」
「実はおじいちゃんから、日本という国に来てくれって頼まれたアル」
「ニホン・・?」
「そこでミニ四駆の大会があるらしくて・・ボクは中国代表として出場することになったアル」
「・・・」
「シャイニングスコーピオンと一緒に走れるアル。いまから楽しみにしているのことヨ」
「・・・」
「あれ、ズオウ・・・どうしたアルか?」
ホァンはズオウに楽しい話を振ったつもりだったのだが、なぜかズオウは黙ったままだった。
ズオウは目線を下に落としたまま、しばらく黙っていた。
そして、ズオウらしからぬ、小さな声で返事をしてきた。
「ホァン・・いつ帰ってくる?」
寂しそうなズオウな声に、ホァンは一瞬、返事をするのをためらった。
「1年後・・・アル」
「いち・・ねん・・」
いつもは元気なズオウの声が、さらに小さくなった。
その声を元気付けるように、ホァンは精一杯の笑顔で答える。
「し、心配しなくていいアル。1年したら、また元の生活に戻るアル。ズオウも一緒のことヨ!」
「ウン・・でも・・」
ズオウは、わずかに肩を揺らしながら、ホァンに何かを伝えようとしたが、そのまま黙ってしまった。
「ズオウ、どうしたアル? ボクがいなくなると寂しいアルか?」
「うっ・・うっ・・・」
「ズオウ・・?」
「ううっ・・いち・・ねん・・うわあーーん!」
突然、滝のような涙を流し始めるズオウ。
その涙は、大きな雫となって、ホァンの顔に降り注いだ。
←それらしいシーンがあったので入れてみましたw
「わあーーーーっん!」
赤ん坊のように泣き続けるズオウに、ホァンも言葉に詰まってしまった。
「ど、どうしたアルか? そんなに泣かないで欲しいアル・・」
「わあーん! ホァンがいなくなるなんて、寂しいー! トモダチがいなくなるー!」
「ズオウ・・・お願いだから泣かないで」
「うっ・・うっ・・本当に1年したら帰ってくる?」
「帰ってくるのことヨ! 絶対に約束するアル!」
「うっ・・うっ・・本当に?」
「トモダチはウソつかないアル。ボクのトモダチはズオウだけのことヨ!」
「うっ・・わかった・・僕、待ってるから」
「ごめんアル・・」
先ほどまで大粒の涙を流していたズオウだが、ようやくひっくひっくと落ち着いてきたようだ。
両手で涙を拭いて、目を真っ赤に腫らしているのが、健気にも微笑ましくも見える。
ホァンは内心、とても驚いていた。
いままで、ズオウがこんなに泣き叫んだことはなかったから。
しかしそれは同時に、ズオウが自分のことを友達として大切に思ってくれることの裏づけでもある。
そう考えると、ズオウの気持ちも考えずに、
自分だけ日本に行くことを、楽しく話してしまったことに、ホァンは後悔していた。
ズオウに対して、申し訳ない気持ちで一杯になる。
少しバツが悪そうに、ズオウと微妙に視線をずらしながら、話しかけた。
「ズオウ、ごめんアル・・。ズオウが泣くと、ボクまで悲しくなるアル・・」
「もう、僕は大丈夫。ホァン、絶対に帰ってくる」
「そうアルよ。ところで、ズオウの話ってなにアルか?」
「ウン・・もういいの」
「大切な話じゃなかったアルか?」
「ねぇ、ホァンがいなくなる前に、エッチしよー!」
「ま、またエッチアルか?」
「だってー、ホァンがいなくなったら、しばらくできなくなるもんー!」
「そ、そうアルね・・」
「ホァンと1年もエッチできないなんて、がまんできないー!」
そういうと、ズオウはホァンの頬っぺたをギュッと握る。
そのまま、自分の毛むくじゃらの胸に、強引に押し付けた。
フサフサした胸に、ホァンの顔をギュッと押し付けるズオウ。
「あ〜あっ、苦しいアル・・やめるアル・・」
「だって、ホァンにしばらく会えなくなるー!」
「わ、わかったから・・・やめるのことヨ」
ようやく、ズオウの大きな胸から解放された。
「じゃ、僕の言うとおりにエッチー!」
「う、うん。なんでもするアルね」
「わーい。今日こそ、ぜったいにスイカのタネ飲んじゃう〜!」
「スイカのタネ・・? 何のことアルか?」
訳の分からないことを言い出すズオウに、首をかしげるホァン。
ズオウは、ホァンのまん丸と太った、太鼓腹をポンポンと叩きはじめる。
「ほら、ココ!」
「スイカって、ボクのお腹のことアルか!? たしかに緑の服着ているけど・・」
「スイカ、たくさんタネがあるから、僕が最初に食べるー!」
「言ってる意味が分からないアル・・でも、ズオウの好きにしていいのことヨ」
「やったー!」
ズオウは、両手をVサインをして喜んでいる。
『泣いたカラスがもう笑った』ということわざがあるが、まさに今のズオウの姿のことを言うのだろうか?
よほどホァンとエッチできることがうれしいらしい。
一方で、ホァンは首を傾げて、ズオウの言葉を考えていた。
(「スイカ」とか、「タネ」とか、今日はまた一段とよく分からないアルね・・)
しかし、しばらくズオウに会えないと考えれば、いまはズオウのためにワガママを聞いてもよいかなと、ホァンは思った。
次回陵辱っぽいです。←またか