田所キャプテン


田所の魅力について、かなりがんばって妄想膨らまして考えました。



プレイボールは、週刊少年ジャンプにて1973年から1978年にかけて連載されたマンガ。名作「キャプテン」の続編である。指を骨折した谷口が墨谷高校入学後、一度は野球をあきらめてサッカー部に入部する。しかし、野球に対する情熱を捨てきれずに野球部に復帰。谷口は動かなくなった指のハンデを克服しながら、万年一回戦負けでやる気の全くない墨高野球部ナインたちを、持ち前のガッツで引っ張っていくという内容。2005年にアニメ化され、キャラクターもショタ化、かわいさ倍増した。俺は先にアニメをみてから原作を読んだので、この考察はアニメを中心とします。田所キャプテンは原作では"おっさん風"なのだが、アニメ版では萌え萌えの可愛いデブキャラに変身した(たぶん、原作だけだったら萌えは発生しなかったでしょう)。そんな田所について妄想を膨らませていこうと思う。


名前

田所の下の名前を検索したのだが、みつからない(もし名前を知っている人がいたら教えてください〜)。"田所キャプテン"というのが通称のようだ。「キャプテン」「プレイボール」では、苗字だけしか存在しないキャラの方が圧倒的に多いので、きっと「田所」は「田所」以外の何者でもないのだろう。マンガやアニメで登場人物を考えるとき、普通は苗字名前をしっかり決めてからキャラ設定するものだと思うのだが、ちばあきおさんはそんな設定さえ物語に集中させるためには不要であると、我々に語っているのだろうか。


性格


田所の性格を公式サイトから拝借すると、「野性味溢れる外見から単細胞タイプにみえるが、顔に似合わず気配りができる非常に細かい神経を持った男」ということらしい(長いなぁ)。

「野性味溢れる外見」だが、豚っ鼻でヒゲまで生やしているので野性味があるように見えるということだろうか。たしかにワイルドで豪快な鼻やふっくらとした体格ではあるが、俺からみると愛嬌のある外見以外の何者でもない(すでにフィルターが掛かっていますね・・・)。

「非常に細かい神経を持った男」の部分はどうだろうか? 俺には細かい神経をもった男よりは、大らかで図太い神経を持った男に思える。きっとこの公式サイトの解説を書いた人は、田所の谷口に対する気配りが尋常ではなかったので(愛のため)、「細かい神経を持つ男」だと勘違いしてしまったのだろう(←ォィ)。


そもそもヒゲをきちんと剃っていないし、暴君のように荒々しい部分も持つ男である。細かく神経を配ってチームを引っ張るというより、親分のような雰囲気と大らかさでチームを引っ張るキャラクターだろう。そういう意味では勝利への固執が登場時は全くなかったので、ヘタレたキャプテンのように見えたのも否めない。

「言動がコロコロ変わる」と公式サイトに書いていたがこれはどうだろうか? おそらく、楽しんで野球をやるという墨高の伝統から脱して、突然勝利のための野球を始めた部分等を指しているのだろう。しかし、これも谷口ラブの観点が抜けている。田所の言動は終始一貫しており、谷口に対する愛を貫こうとしている。その考えを持たない人がみると言動に一貫性がないように見えているだけである。ちばあきおさんも、田所がコロコロ変わる性格なんて言われて、さぞ無念であろう(あれ?違う?)。


家庭

田所の家庭は一切でてこないので不明であるが、非常に後輩の面倒見がいいことから、弟か妹がいそうな感じがする(推測ですが・・「お兄ちゃん!」と呼ばれる田所もいい感じですね・・)。

実家は田所電気商会という電気屋を営んでいるらしい。DVDの小冊子によると、田所は卒業後、家業を継ぐために自動車免許取得に向けて勉強中だ(普通免許取るんだったら、勉強するよりも教習所に通えよ!)。アニメでは修理のために勉強中といっているので、電気機器修理技術者の資格の気がするが、間違いだろうか? 
アニメには登場しないが、田所は卒業後に営業マンとして、車で家電のセールスをする(2ndでそのシーンが出てくるかもしれない)。今では家電量販店がメインで、下町とはいえ街の電気屋さんが営業するなんてことはないだろう(1970年代はまだまだ街の電気屋さんが大活躍だったんですね・・)。
ちなみに営業をしている田所は、リーゼントで単なるおっさんと化していた(ちょっと残念)


体型と服装


田所はガッチリではなくポッチャリ系デブ。ユニフォーム姿のときはお腹がぷっくりと出ている(本当にいい具合に太っているんですよね・・)。白いユニフォームに青いソックスとアンダーウェア。ちょっとずれ落ちそうなベルト。ユニフォーム姿はかなり萌えるが、アンダーウェア姿もこれまたソソる(パンツ姿のシーンがないのが残念です!←行き着くところはパンツです)。ちなみにデベソなのも発覚。




たまに学生服姿のときがあるが、ワイシャツがキツキツなのかかなりお腹が出ていた(お腹に力を入れるとボタンが弾き飛びそうです)。野球のユニフォームは実は着痩せアイテムなのかもしれない(それでも十分に太っていますが・・・)。


田所の一番トレードマークはなんといっても後向きにかぶった野球帽。キャッチャーだから常に後向きにかぶっている。ピッチャーをしたときは前向きにかぶっていたが、そのときに気が付いた。田所は野球帽を後向きにかぶってこそ田所だ

そして豚っ鼻。顔が横に向いても鼻の穴は常に上向き(鼻の穴をリアルに書くとかなりマヌケになりそうですね・・)。いままでいろんなキャラクターの鼻をみたがここまで完璧に豚鼻をしているキャラクターは珍しい。それでいて愛らしいから不思議だ。

さらに、無精ひげ。高校生であそこまでヒゲが生えてるって・・・たぶんアニメだと許されるが、実際には校則違反で先生に捕まりそうです。(田所は男性ホルモン強すぎですね・・)。
それと目立たないが、でかいタレ尻をもつのも特徴(触りたくなりますね・・・←って結局それかい)。ユニフォームや青いソックスがプラスされて、さらに下半身の萌え要素がアップされている。

田所は小さい頃から太っていたのだろうか?これは推測するしかない。中学生の頃はピッチャーをしていたいうことから、現在ほどデブとは考えにくい(もちろん、デブのピッチャーというのも存在しますが・・よほど球が速くなければ普通はムリでしょう)。スポーツをしていて激太りするということもないと思うので、中学のときは「そこそこ太っていた」のだろう。高校のぬるま湯的な部活によってデブ因子が活発になり、さらに太ったということか(ピッチャー田所中学生編を見たいです。小学生編でも可←ォィ 青少年育成国民会議さんよろしくお願いします)。


谷口・愛


「プレイボール」の主人公の谷口。指のケガで選手生命を一度は絶たれたと思われたが、野球への想いは消えることは無かった。彼は墨谷高校に入ってから毎日フェンスの向こうで野球部の練習を見つめる。

そんな純情な谷口に一目惚れしてしまった田所(←ぉぃ)。谷口が墨谷2中のキャプテンだったことを知らなかったようなセリフがあるが、これは間違いなくウソで、入学したときから目をつけていたと思われる。毎日野球部の練習を見に来る谷口が気になって仕方が無い。サッカー部に入った谷口だったが、紆余曲折を経て野球部へ(サッカー部の相木に対して、裏からさまざまなプレッシャーをかけたという説も・・)。田所は野球しか見ていない谷口に、「俺を見ろよ!」と言わんばかりにモーレツなアタックを開始する。


谷口が入部当初、田所は「谷口を特別扱いすることが、返ってヤツを苦しめることになるのが分らんのか!」」などと他の部員に言葉巧みに牽制をしていたが、何の事は無い、自分が一番谷口を特別扱いしていた

その後も田所の暴走は留まる所を知らない。京成高戦では、代打で使うといいながらちゃっかりとポジションを与え、谷口が送球できたときは人目もはばからずに号泣していた
城東高戦では、いきなり谷口を4番に抜擢した上に、4番谷口・5番田所と打順を改竄までしてアベックホームラン妄想に走る(結局最後まで成し遂げられませんでしたが・・)。
東実戦前では「野球以外でもやることがたくさんあるため、東実にまともにぶつかることはできない」と他の部員のことも考えているのかと思いきや、次の日からありえない笑顔で谷口の練習にまともにぶつかっていた。さらに妄想デートをしてみたり、「俺は食うときは食う」などといきなりセックスアピールを始めてしまったり、フォークボークを投げられると知るや否や、「ココよ、ココ」と自分の股間めがけて投げさせるあざとさ。そのラブラブぶりに目を覆いたくなるほどだ。


そして最後の東実戦では、プロにもスカウトされるという東実のエースから、愛の力でホームラン。さらに谷口を抱っこしたり、おぶったり、お神輿にしたり、もうやりたい放題。原作は一体なんだったのかと思わせるほどの行動力だった。素晴らしい。「プレイボール」って野球アニメじゃなくて、恋愛モノアニメだったんですね・・(「プレイボーイ」と一字間違えて「プレイボール」だったんですかね・・←ありがちなネタですみません)。


ノックの名手?

俺は小さい頃野球をやっていたのだが、ノックは見た目よりも難しいと思う。田所は部員に毎日のようにノックをしていたが、その姿はなかなかサマになっている。第6話で他の墨高の連中がまともにノックができなかったシーンがある。そのとき、田所が思った方向にノックを飛ばす方法を講釈をするのだが、それを聞いてみんな感心していた(「初めてキャプテンを尊敬した」っていうひどいセリフまで・・)。

しかし、田所がノックの名手たるゆえんは、ノックの打球技術ではない。ノックは、打つ者と取る者のコミュニケーションも兼ねている。田所はノックをしながら野手に声を常にかけ、キャプテンとして部員とコミュニケーションを図っているのだ。田所のノックシーンでは、ただ難しいところに打球を飛ばしたり、叱りつけるだけでなく、部員といろんな会話をしている。田所がキャプテンとして立派に仕事をしている場面の1つだと思う。


キャプテンの資質

田所はくじ引きで選ばれたキャプテン。墨谷高校では毎年伝統としてキャプテンをくじ引きで選ぶらしい。理由はキャプテンは部会や備品調達など、損な役回りをしてなくはいけないから。キャプテンをくじ引きするチームが強いはずもなく、こんなところからも、墨高が万年一回戦負けの弱小チームであることが読み取れる。

しかし、くじ引きで選ばれた割には、田所はキャプテンとしてチームをうまくまとめていた。ただし、まとめ方としては粗暴であり、暴君気味なところが多々あるようだ。部員たちが「早くしないとキャプテンからドヤされる」とよく口にしていたり(おそらく田所にゲンコツを喰らい、怒鳴られるという意味)、村松がバントの指示を無視してヒッティングしたときも、田所を異様に恐れていた。体がでかいし、声もでかい田所だから、一度雷が落ちると大変なことになるのだろう。


一見、粗暴な言動が目立つ田所だが、不思議とチームはまとまっていた。これはなぜだろう? 
田所はチームを強引に引っ張る一方で、なんでも受け入れる度量の広さを持っていた。簡単にいうと田所は部員にとって、親しみやすく、話を分かってくれるキャプテンだったのだ

話中には、部員が田所に対して遠慮なく意見や愚痴、はたまた非難をぶつけているシーンが多い。例えば谷口が入部したとき、谷口が京成高に対して指示を出しているときに、部員たちはストレートに自分の意見や谷口に対する愚痴を田所に言っている。逆に京成高戦で、谷口の意見が田所にどんどん取り入られたことからも、普段から田所は人の話をよく聞くキャプテンだということが分かる
部員たちは田所を絶対者として畏怖するわけではなかった。部員たちは田所にドヤされながらも、実際には田所に自分の意見や愚痴をいってその判断を委ねていた。田所のあとくされない性格が、面と向かってなんでも言える一種独特の雰囲気を作り出していたのだろう。このような雰囲気は作ろうとしてできるものではない。田所は生まれながらにしてそういうセンスを持ち合わせていたと考えられる。


一方、視聴者の側からすると、田所は当初、勝利への固執がなくて、さぞヘタレたキャプテンに映ったことだろう。見た目もデブでヒゲ面だし、カッコイイとはいえない(俺は萌え萌えなんですけど・・)。さらに谷口にあれこれと指図されて動き回っているだけ。

しかし、東実戦が終わる頃には、多くの人が田所のキャプテンとしての資質を見誤っていたことに気付いただろう。田所は実に熱い男だった。ただキャプテンという立場上、全員のことを考えなければならず、谷口と野球に対する考え方が少し違っていただけだ。根底では勝つことの執念、野球への想いは谷口と同じだったのだ。だから田所は谷口のいうことを理解して積極的に取り入れ、自分の将来を少し犠牲にしてまで、谷口と共に最後まで戦ったのだろう。

チームが強くなったのは谷口の力によるところは大きいが、最終的にチームを引っ張っていたのは谷口の進言を受け入れて実践していた田所である。最初は谷口に不平不満を漏らしていた部員たちも、田所が緩衝材になることによって最後は1つにまとまった。そして東実と互角に戦えたことに対して、全員が谷口に感謝した。

「プレイボール」は谷口の物語だが、ちばあきおさんの描き方は「キャプテン」から変わっていないように思う。谷口→丸井→イガラシ→近藤と、それぞれ個性的なキャプテン像を描き出したが、「プレイボール」でも田所といういままでの誰とも違う、別のキャプテン像を描いていたと思われる。「人をまとめて引っ張っていく」ことは並大抵なことではない。しかし、田所は持ち前の明るい性格と、愛嬌のあるキャラクター、そして部員の意見に耳を傾ける度量によってその責任を全うした。田所のやり方は決してチームが強くなるとは言えないが、ただがむしゃらに引っ張るだけが、人をまとめる方法ではないということを表現していたのかもしれない。

もし、田所がキャプテンじゃなかったら、1年の谷口が活躍できたかも微妙だ。谷口にとって、キャプテンが田所だったから、野球を順調に再スタートすることが出来たのかもしれない


元旦那・メガネ君(中山)の日記

元・旦那であるメガネ君(中山)が綴った日記を発見しました。最後まで谷口に冷たかったメガネ君。実は相当ライバル心があったようです。


○月×日 晴れ
2年生となり、ようやく墨谷のレギュラーピッチャーになることができた。これで、1年生のときから慕っていた田所キャプテンと夫婦バッテリーを組むことができる。田所キャプテンは、体も大きいが心も大きい。きっとアソコはもっと大きいのだろう。たまに怒鳴られることもあるが、俺から見ればそんな田所キャプテンがいとおしい。俺の本当の女房にするべく行動を起こさなくては。球は遅いが、やることは早いのが俺の自慢だ。

▲月×日 曇り
ピッチャング練習をしながら田所キャプテンと愛のキャッチボール。目と目でアイコンタクトを取りながら投球する時間は、この上なく至福である。現在はバッテリーとして俺の単なる女房役であるが、卒業したらすぐに本当の女房になってほしい。一刻も早く田所キャプテンを口説かなければ。愛の印として何球か股間めがけて投げ込んでみたが、田所キャプテンは意外と恋心には疎いので、自分の本意が伝わっていないようだ。愛をどのように伝えようか、いまこうして日記を書きながらも悩んでいる。

△月●日 晴れ
最近気になる1年生がいる。フェンスの横でずっと野球部をみているのだ。ちょっと調べてみたら、その1年生は谷口タカオというらしい。なんでも墨谷2中を全国一に導いた伝説のキャプテンだという。それにしても、谷口の田所キャプテンを見る目が怪しい。気になる。


□月×日 曇り
谷口の田所キャプテンを見る目が日に日に怪しくなっている。早く釘を刺すために、なにか行動を起こさなければ。

●月△日 晴れ
とりあえずサッカー部の相木キャプテンに、「谷口は運動神経抜群ですよ」などと適当なことを言って、勧誘してもらう作戦を実行した。うまくいくかどうか不安ではあったが、相木は意外と単純なので、俺の言ったことを疑いもせず本当に谷口をサッカー部に誘っていた。谷口は誘いに対して「考えさせてくれ」と言っていたようだ。早くサッカー部にいけと、暗黒大邪神に祈りを捧げている。

▲月×日 晴れ
ついに谷口がサッカー部に入部した。野球の実力は全国一かもしれないが、サッカーは全く別のスポーツ。きっと補欠になるだろうと考えていたところ、谷口はメキメキと頭角を現した。「運動神経が抜群」などと適当なことを言ってみたが、まさかこれほどまでとは・・。相木は喜んでいるようなので、結果オーライということにしておこう。田所キャプテンは谷口に興味があるらしく、サッカー部をたまに覗き見している。むかついたので、ピッチング練習のときに股間めがけてバウンドボールを何発も投げ込んでやった。田所キャプテンは股間の玉をつぶされないよう必死だったようだ。俺は球は遅いが、コントロールだけはよいのが自慢だ。

○月×日 晴れ
サッカー部での谷口の評価がウナギのぼりだ。そのままサッカー部で定着してくればよいのだが、まだ決して油断はできない。谷口はデブ専っぽいので、ここで最終兵器を投入することにした。ちょっとガチタイプになってしまうが、今野先輩を谷口に仕向けた。俺は今野先輩は全くタイプではないが、谷口はポッチャリ系よりもガチ系が好きかもしれない。今野先輩も谷口のことはまんざらでもないらしく、あっさりと了承してくれた。意外と節操のない野郎だ。谷口は中学時代からドS級のしごきが大好きだという情報をゲットしたので、今野先輩にもそれを実践してもらうようにお願いした。おかげで2人の間に愛が芽生えつつある。俺のメガネは光りまくりだ。


●月△日 晴れ
驚いたことに谷口がサッカー部をやめて野球部に入ってくるという。今野先輩と順調に愛を育んでいる思っていたので、すっかり安心していた俺が甘かった。どうやら相木がカッコつけて、谷口をひっぱたいて退部させたらしい。むかついたので相木を呼び出し、ひっぱたいた理由を聞いてみると「谷口が野球を忘れられなかったから」だという。本当は「田所キャプテンが忘れられなかったから」に決まっている。大変なことになってしまった。さて、今度はどうしたものか。

□月×日 晴れ
ついに谷口が野球部に入部してきた。田所キャプテンはデレデレするのかと思いきや、意外と厳しく谷口に接していた。しかし、あれは俺の知っているキャプテンとは違う。谷口のことになるとムキになっている。谷口は谷口で、朝から草むしりをしていきなりアピールを開始していた。なかなか姑息なことをするじゃないか。
生意気だったので、高校生の洗礼を浴びせようと俺の自慢の遅い速球とカーブで谷口をキリキリ舞させようとしたが、逆に俺がキリキリ舞させられてしまった。俺の作戦が裏目に出て、田所キャプテンの谷口の見る目が明らかに変わっていく。俺が谷口のアピール役になってどうするんだ。しかたないので、部員たちに「あいつは指が曲がらない」とか「あいつが守備をしたら、投げる俺の身にもなってくださいよ」と平静を装ってボソボソとヤツの欠点をいうことにした。少し陰険な方法だが、こういうボディブローが後々に効いて来るのだ。


●月△日 晴れ
今日は京成高との試合だった。俺は絶好調で三振を取りまくりだったが、それがすべて谷口のメモのおかげだったとは。俺が三振を取れば取るほど、谷口のアピール度が増してしまう。しかし、ヒットを打たれる訳にもいかないし、田所キャプテンの要求を無視するわけにもいかない。谷口のヤツ、俺を利用してアピールするとは、なんてずる賢い作戦を使ってくるのだろうか。さすがは全国一のキャプテンだけはある。
先取点を叩き出した谷口に対して、田所キャプテンはいよいよ惚れこんでしまったらしい。俺に「谷口みたいに打ってこい」と意味不明な要求までしてくる。ヤケクソでバットを振ってみたが、あっさりとキャッチャーフライとなり、俺の印象はますます悪くなってしまった。
さらに、田所キャプテンは谷口をライトに起用してしまった。これ以上、谷口の印象を良くするわけにはいかない。ピッチングの疲れが出たフリをして、ライトに打球が行くようにコントロールして投げてみた。俺は球は遅いがコントロールだけは自信がある。案の定、京成高は谷口がボールを投げられないことを見抜き、谷口に集中砲火を浴びせていた。これで谷口脱落かと思いきや、谷口はものすごいファイトですべてボールをダイレクトキャッチしてしまった。なんてヤツだ。俺も思わず感動してしまったじゃないか。


□月×日 晴れ
田所キャプテンの中で谷口の株が急上昇している。今後の試合で谷口を4番サードとして使うという。しかし、京成高戦での活躍をみれば誰も反対するものはいなかった。俺1人だけ反対してもチーム内で孤立してしまう。ここは上級生の態度として黙認するのが正解だろう。

▲月□日 晴れ
今日は城東戦だった。俺のピッチングは今日も絶好調。しかし、これがすべて谷口のメモのおかげだというのがなんとも口惜しい。しかも谷口は試合中に「みなさん、ちょっとユニフォームをまくってみてもらえませんか?」などといかにもなことをいって、難攻不落の田所キャプテンのお腹を露出させていた。コイツはなんてハレンチなことを自然に言ってのけるのだろうか。しかも田所キャプテン1人でなく、全員まとめ斬りだ。かくいう俺も騙されてユニフォームをめくってしまったじゃないか。谷口はキャプテンのお腹をジロジロとなめ回すように見ていた。試合中だというのに、たいした勝負度胸だ。なかなかやるな。


□月×日 晴れ
信じられないことに、田所キャプテンが谷口と2人っきりでデートに行ったらしい。どちらからが言い出したことかは分からないが、聞いた瞬間、目の前が真っ暗になってしまった。田所キャプテンと電車の密着した空間を楽しんだり、将来について語り合ったのかと思うと、とても落ち着いていられなかった。しかし、事はうまく運ばないもの。谷口は田所キャプテンとケンカをして別れたらしい。策士、策に溺れるということか。どちらにしても勝手に自滅してくれて、結果オーライだった。

●月△日 晴れ
部室に行って見ると、谷口と田所キャプテンがケンカしたという話で盛り上がっていた。どうやら噂は本当らしい。そこへ田所キャプテンが登場。田所キャプテンの口から「東実とまともに張り合おうっていうんだ。どういうのかね、アイツ!!」とあからさまな非難の発言があったのだ。ここぞとばかりに、昨日から考えていた「豆鉄砲でバズーカと打ち合うつもりか?」というセリフをさりげなく言ってみた。それに呼応するがのごとく、部員全員調子にのって谷口を非難し始めた。単純な野郎どもだけに扱いやすい。これで谷口は全員から無視されて落ちぶれるだろう。しかし、驚いたことに谷口が現れた途端、田所キャプテンの態度が急変した。先ほどまで非難していた谷口に、「俺も応援しているからな!」と笑顔で接しているではないか。さすがにこのときは俺だけではなく、その場の全員が凍りついてしまった。


○月×日 晴れ
谷口は東実戦を前に猛練習をしたらしく、ノーバウンドで送球できるようになっていた。練習量は半端ではないだろう。ここまでの練習量を見せ付けられると、谷口は別に田所キャプテンを愛しているのではなく、単に野球が好きなのではないかと思えてきた。俺はいままで田所キャプテンを取られまいとそればかり気にして、谷口のことを認めなかった。しかし、それが今となっては恥ずかしい。そこで谷口に協力してあげることにした。こうすれば少しは田所キャプテンへの印象もよくなるという下心があるのは隠しておこう。


▲月□日 晴れ
谷口の送球がいつのまにかフォークボールになっていた。投手に抜擢された谷口の球は、確実に田所キャプテンの股間を狙っている。あれだけハードな練習をしながらも、田所キャプテンの股間を狙いに来るとは・・・。一体どこまですごいヤツなんだ。谷口の田所キャプテンを愛する心はどうも俺の比ではないらしい。さすがの俺も脱帽だ。
しかし、そんな球があるのならばもう俺は旦那として、いやピッチャーとして不要じゃないか。これも俺を脱落させるための作戦だったのか!しかし、フォークボールは多投できないらしい。谷口は先輩である俺の見せ場もきちんと考えていたということか。谷口、お前ってやつは・・。

□月×日 晴れ
今日は東実戦だった。すっかり谷口と意気投合した俺はチームプレイに徹し、東実をすべてサードゴロに打ち取る作戦を敢行した。1回表は俺の自慢のスローボールに東実は三者凡退。意外と東実もたいしたことはないなと思ったが、そんな作戦はすぐに見破られてしまった。あっという間に5点を失ってしまう。しかし、信じられないことに野手が打球に慣れたため、その後は点が入らずにその後4回まで俺が抑えた。
しかし、調子がよいと思っていたところに落とし穴はあるもの。途中で打者と交錯してしまい足を痛めてしまった。田所キャプテンは俺のことを心配してタイムまでとってくれた。このときはうれしかったが、抱っこをしてベンチに運んでくれなかったのが残念でならない。アピールが足りなかったのだろうか。これから大活躍というときに、なんてツイていないんだろう。
俺の後を継いだ谷口はフォークボールで東実を完璧に封じていた。なんと9回まで東実打線を失点ゼロ。しかし、最終回近くになりさすがに体力を消耗しきったようだ。ベンチに帰る途中で倒れたり、マウンドでフラフラになったりしていた。しかし、これが田所キャプテンに対する体を張ったアピールであったとは。谷口はどんな逆境でも愛を表現する場にしてしまうらしい。田所キャプテンもそれに呼応するが如く、谷口を抱っこしたり、おんぶしたりの熱愛ぶりだ。見ている俺の方が恥ずかしくなってくる。
俺も最後のアピールをしようと、なりふり構わずに「カーブのときにピッチャーのグラブが動きます」と相手投手の癖を適当に言ってみた。東実のピッチャーともあろう者にそんな癖があるわけがない。しかし本当にグラブが動く癖があったらしく、全員が東実のピッチャーを打ち始めたではないか。何でも言ってみるもんだ。
しかし、所詮は焼け石に水。必死のアピールの甲斐もなく、田所キャプテンは谷口をお神輿するわ、愛の力でホームランまで打ってしまうわで、完全に2人の世界に入り込んでしまっていたようだ。もう2人には何もいうまい。いまは2人の行く末を見届けようと思っている。


以上、とてつもなくくだらない妄想日記でした。中山さんのファンの方、すみません(しかも元旦那でもなんでもないし)。


最後に

田所は顔も設定もシンプルなキャラクターなので、単体というよりは、谷口の絡みの方が萌えが強力にパワーアップすると思う。自分としてはユニフォーム+豚鼻+谷口で3hitコンボということで(^^;。
最近はプレイボールに見られるように、過去の作品がアニメ化、リメイクされて萌えキャラクターが出現するという現象が多い。リメイクされるときにキャラクターも同時にショタ化される傾向にあるので、田所のような原作ではあまり萌えないキャラクターでも、萌え要素が入るのが驚きだ(原作に萌えが入っていた方にはすみません)。これがよい現象なのかは微妙だが、少なくとも「キャプテン」しか見ていなかった俺は「プレイボール」という作品にこれで出会えた訳で、そういうのもアリなんじゃないかと(動機が不純すぎますね・・)。



使用している画像、台詞等は「プレイボール」第1話〜第13話から引用しています。著作権はちばあきお/エイケン・プレイボール製作委員会に帰属します。

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