ヤジロベー


ヤジロベーの魅力について、かなりがんばって妄想膨らまして考えました。



以前の考察から散々書いているが、俺は鳥山明さんの絵が大好きだ。これまでも鳥山さんがデザインした「モコモコ」や「BlueDragonのオレンシが眩しいデブ少年」をレビューしてきた。しかし、まだ鳥山作品の最高傑作と、それに登場するキャラクターをレビューしていない。それが今回考察する「DRAGONBALL」と「ヤジロベー」だ。
今回、ヤジロベーを考察するきっかけになったのは、PS2版の「DRAGONBALL Z Sparking METEOR」というゲーム。このゲームは、悟空や悟飯、ピッコロやベジータの他に、ヤジロベーを使ってフリーザやセルや魔人ブウと戦える。普段はほとんどやる気のない戦わないヤジロベーが、強い敵と戦う姿になぜか魅了されてしまい、もう一度本編でヤジロベーをきちんと見たくなってしまった(一体なにがきっかけになるか分からんもんですね・・)。
そして、DVDをTSUTAYAで借りようと思ったのだが、全部借りると何年かかるか分からないので、思い切ってBOXを購入。しかし、このDVD-BOXが高いのなんのって。初代DRAGON BOXが10万円、DRAGON BOX Z編が20万円、DRAGONBALL GT BOXが5万円。全部で35万(苦笑)。ボーナスがすべて吹っ飛びました。それもこれもヤジロベーのためだ。仕方がない(なにか金の使い方が間違っているような・・まぁそれはそれ、ナニはナニってことで(苦笑))。

※ちなみに本考察はアニメ版「DRAGONBALL」を元に考察します。マンガ版のヤジロベーのほうが性格が首尾一貫しているようだが、せっかくDVDを購入したので、アニメ版のヤジロベーのセリフや行動で考察を行います。ただし全話みると10,000分(約200時間)にもなるので、ヤジロベーが登場すると思われるシーンだけをピックアップして視聴した(35万もかけて、みるところはヤジロベーの確認だけってのは、やはり我ながら間違っているような気もするが)。


どっちが萌える?

「DRAGONBALL」は日本では知らない人はいないんじゃないかと思うほど有名な作品だと思う。だからヤジロベーについても、いまさらキャラクターを紹介する必要はないかもしれない。だったら「ヤジロベーを考察する意味なんてないんじゃないの?」というツッコミが入りそうだが、ヤジロベーを考察する意義はある。

俺はデブショタキャラが好きな人で、「DRAGONBALL」が好きでも「ヤジロベーが大好き」という人は意外と少ないのではないかと思っている。それというのも、「DRAGONBALL」にはもう1人のデブショタ専キラー(ってなんだ・・)なキャラクターが存在するからだ。それは「少年期の孫悟空」だ。こんなことをいうと身も蓋もないのだが、正直に言うと「DRAGONBALL」で一番萌えるデブショタキャラは少年期の孫悟空だと思う。この考察を書いている今でも、悟空とヤジロベーの萌え度は甲乙付けがたい。

悟空は正確にはデブとは言えないのだが、「ぷに度」で言えば少年期の悟空は圧倒的に輝いている。何しろ、性格が素直で天然であり、まだあどけなさが残っており、可愛いし、憎めない。裸のシーンも多数あるし(これも大事)たまにズタボロにヤラれるし、俺はそんな少年期の悟空がいまでも大好きだ。

一方のヤジロベーは一見すると無愛想だし、薄情だし、逃げてばかりだし、性格も掴みどころがない。一体、どこに萌えを感じるのか? 俺がヤジロベー考察を長い間しなかった理由もそこにある。しかし、今回改めてDVDを購入して視聴したところ、当時は分からなかったヤジロベーの魅力がなんとなく理解できた。ヤジロベーのふてぶてしさの中にチラリと「本音」を見つけることができたのだ。だから、この考察を通じて多くの(?)デブショタファンに、ヤジロベーの魅力を少しでも伝えることが、今回の目的です(ウンチクが長くなったが、要するにヤジロベーはかなり萌えるんじゃね?という妄想考察です)。


性格

ヤジロベーの性格は、ドラゴンボール完全版公式ガイドによると「自分の命が一番大事。憎めない小心者。ヤバそうになると真っ先に逃げるが、仲間を案じ、仙豆を届けるなど気のよさもある」と書いてある。この解説文は「うん、その通りだ。よくヤジロベーのことを適切にまとめてあるなー」と思った。ただ一点、「小心者」という部分は疑問が残るのだが。

実際、ヤジロベーはやっかいごとに巻き込まれるのが大嫌い。非常に無愛想な性格で、いつもムスッとした顔をしている。そのため、デブショタキャラに重要な見た目の可愛さはあまり感じられない。またブルマのような年頃の女(笑)を見ても発情することはないので、非常に硬派でウブなのかと思えば、そんなことはない。お調子者な性格もあり、ベジータに殺されそうになったときは「俺、おみゃーさまを尊敬してるだがね。お仲間にしてちょうだい〜?」と軽いノリを披露。額の血管切れまくりのベジータに対し、こんな冗談を堂々と言えるヤジロベーは、ある意味、悟空以上の大物というか。さらに仙豆を持ってきても、単にカリン様から頼まれたからという理由で、悟空を励ますこともなく「まぁ、かんばってちょ」の一言で無造作に渡す。本当に仲間を案じているのか、甚だ疑問を感じる態度である。


同じ鳥山キャラの「モコモコ」と比べると、めちゃくちゃ明るいギャグメーカーでもないし(根は明るいが、みんなと騒いだりすることはない)、楽天家ではなく現実主義者だ。さらにデブキャラ特有の猪突猛進のおバカさんキャラではなく、現金で打算的というか。うーん、これではヤジロベーは単なる嫌なヤツではないか。

性格に問題があるヤジロベーだが、デブでコロコロとした体型と、チラリと見えるフンドシといった外見はなかなかイイ。服装については後述するが、ヤジロベーに萌える理由が、体型とフンチラだけというのは、いただけないし、なにか違うような気がする。たぶん、ヤジロベーに萌える人と萌えない人の差は、彼の性格をどう理解しているかに拠っていると思うのだ。

おそらくほとんどの人は感じていると思うのだが、ヤジロベーは不思議と憎めないキャラクターだ。嫌なヤツっぽいのだが、なぜか憎めない。それがどういうことなのか、俺が1週間寝ないで必死に妄想した範囲で、がんばって説明(妄想)していこうと思う(←ォィ)。


悟空に出会う前のヤジロベーは?

本編では一切語られないヤジロベーの過去。悟空に出会う前のヤジロベーは、どのような生活をしていたのだろうか? おそらく作者の鳥山さんも考えていないであろう、ヤジロベーの生い立ちを考えてみたい。

ヤジロベーはジャングルでテントや野宿をして生活している風来坊らしい。ほぼ悟空と同年の子供で、ジャングルで生活する風来坊って、一体・・!? 両親はいないのか? 昔からずっとジャングルに住んでいるのか?(ドラコンボールのキャラクターは、出生不詳な人が多すぎます・・)。
でもヤジロベーは妙な名古屋弁で会話をするし(※1)、一人前の処世術も身につけていることから、生まれたときは両親か誰かに育てられたと考えられる。

ヤジロベーの幼少時代は、悟空の幼少時代に近いと妄想してみる。なぜかというと、この2人は登場の仕方がとても似ているからだ。悟空は人里離れた村で暮らしており、食事の魚を運んでいる途中に、車に乗ったブルマに跳ねられる。悟空は「さてはオラの獲物を横取りしようってんだな! そうはさせないぞ!」と魚を横取りしようとした(?)ブルマを攻撃しようとする。
一方、ヤジロベーは焼いていた魚を、腹の減った悟空に食べられてしまう。ヤジロベーは「ドロボー! 盗っ人! てめー俺の魚を盗み食いしただろ!」と魚を横取りした悟空に岩を投げつける(「あれは落ちていた魚だ!」と主張する悟空は、天然を通り越しておかしいです・・ヤジロベーが怒るのもムリはないかも)。
おもしろいことにヤジロベーは、悟空がブルマに出会ったシチュエーションを再現する形で登場する。つまりこれは、作者の鳥山さんが「ヤジロベーは、悟空と同じような環境で生まれ育ち、自然の中を生き抜いている野生児ですよ」と暗喩していると思うのだ(←我ながら強引な妄想です)。

という理由で、ヤジロベーは悟空と同じような境遇で育ったということで勝手に話を進める。ヤジロベーは生まれてからすぐに両親が他界、もしくは両親に捨てられ、悟空と同じように見知らぬお爺さんに育てられたと考える。ちなみにそのお爺さんは日本人、もしくは勘違いした日本かぶれの外人(←こっちの方が可能性が高い)。そもそも「ヤジロベー」(※2)という名前が日本のものだし、妙な名古屋弁を話すし、ヤジロベーが日本の着物とふんどしを着用している点からも十分に推察できる。さらに、悟空と同じようにお爺さんが武術(※3)と剣術をヤジロベーに教えたのではないかと推測する。というのも、ヤジロベーの居合い斬りは、かなりサマになっており、誰かに教えてもらったとしか思えないからだ(独学とは思えない)。とすると、ヤジロベーが持っている日本刀は、お爺さんの形見ということになるのかも(いや、きっとそうに違いない)。

ここまでは幼少の孫悟空と同じ。お爺さんと幸せに暮らしていたヤジロベーに、このあと大変な苦難が襲い掛かるのだ。


※1 鳥山氏が名古屋に住んでいるのと、クリリンのCVと区別するためにアニメ版では名古屋弁になったという説がある。
※2 「ヤジロベー」という名前は、作者の鳥山さんが日本人のイメージで付けたと語っているが、お爺さんがつけたと妄想してみる。
※3 ヤジロベーが悟空と戦ったときに、武道の型を見せており、悟空も「やるぞ、コイツ・・」と感心していた。そこでヤジロベーはお爺さんに武道を習ったと妄想する。


過酷な風来坊生活

ヤジロベーの身体能力は極めて高く、幼少の頃からすでに人間離れした怪力を発揮していたと思われる。しかし、この人間離れした力が、ヤジロベーに悲劇をもたらしてしまう。

悟空のように純朴に育ったヤジロベーだが、お爺さんが死んでしまう(10歳のころ)。身寄りのなくなったヤジロベーは、街で働いて生活をしようとする(土方作業とか?)(※4)。ヤジロベーは大食漢なので、ともかくお金を稼がないと十分な食事にありつけない。だから労働基準法(ってあるのか・・)を無視して働きまくる。ヤジロベーの体力は人間離れしているので、低賃金で普通の大人の10倍以上働けるだろう。経営者はヤジロベーを大歓迎し、ウハウハ状態である。しかし、そんな世間を知らない怪力少年を、ヤクザな大人が放っておくわけがない

ヤジロベーの身体能力の高さに目を付けた大人たちは、ヤジロベーに「お金がたくさん儲かるから」と騙して用心棒として雇う。そしてゴタゴタ騒ぎがあると「この怪力小僧が犯人です!」と警察にヤジロベーを突き出す。また別の大人は、ヤジロベーに力仕事をさせるだけさせ、賃金を払わずにトンズラしてしまう(※5)。ヤジロベーはそれでも世のため人のためにがんばろうと、懸命に働くのだが、所詮は金儲けしか考えない大人のカモ。ヤジロベーは、大人に散々裏切られ、他人に騙され、人のために手伝いをしても何も報われず、その日の食事に困り果てるという惨憺たる状況に追い込まれる。
ヤジロベーは齢10歳にして、社会がどのようなものであるかを悟り、嫌気が差してしまう。「もうゴタゴタに巻き込まれるのはまっぴらだぎゃ!」と街を離れて、食べ物が豊富そうなジャングルで風来坊(定まった居所や仕事がない人のこと)として生活をすることを決意する。

風来坊となったヤジロベー。やっと世間のゴタゴタから解放されたかと思いきや、ヤジロベーの前に新たに立ちはだかったのは、自然の脅威だった。風来坊というと聞こえはいいが(良くないかw)、実際には自由で気楽な生活がそう簡単に送れるはずがない。ジャングルの中では周りはすべて敵であり、弱肉強食の世界。ヤジロベーがいくら人間離れした体力を持っているとしても、まだ小童こわっぱであり、凶暴な野獣には太刀打ちできない。ふと油断すれば飢えた獣が襲い掛かる。毎日が戦いの連続であり、安息な日々はない。その日の食事にあり付くのもやっとである。街に戻ろうと弱気になるヤジロベーだが、他人とのゴタゴタはもうたくさんだし、街ではたいした食事もできないので、やはり戻ることもできない。なんとかジャングルで魚を取ったり、自分よりも弱そうな動物を狩って露命をつなぎ、飢えをしのぐ生活が続く。おそらく何度も殺されそうになったり、死にかけたのだろう(なんと過酷な幼少時代なんでしょうか)。

そして数年の時が経った。ヤジロベーは驚異的な身体能力と生命力により、ジャングルの中でも立派に生活できるほど逞しく成長するのである。もはやジャングルの中では敵なし。食料はほとんど困らない(美味くはないが、食べ過ぎて太るほど)(※6)。他人とのゴタゴタもない。毎日美味いものを求めて世界を旅をする。ヤジロベーは、ようやく自分が求める理想の生活を手に入れたのだ

しかしある日、ヤジロベーの人生を変えてしまう運命の少年と出会う。


※4 ヤジロベーはホイポイカプセルなどのテクノロジーを使いこなしていることから、悟空とは違い都会に住んでいたと考えられる。
※5 ショタ専なオヤジに騙されて夜に強姦されたりもした←ォィ
※6 ヤジロベーが太ったのは、風来坊としての生活が安定してからと考えられる。


運命の出会い

ジャングルで風来坊な生活をしていたヤジロベーの前に、ある日不思議な少年が現れる。朝飯に焼いておいた魚を勝手に食べて、「あれは落っこちていた魚だ!」と主張する天然の少年。それが孫悟空だった。その日の食事にありつくことが最重要なヤジロベーにとって、悟空のたわ言など耳に入らない。さらに悟空はヤジロベーが一星球を首から下げているのを発見し、「クリリンを殺したヤツの仲間だな!」と攻撃を仕掛ける。ヤジロベーと悟空は、事情が分からぬまま格闘となってしまう。しかし、手合わせをした瞬間、お互いの強さに驚くのである。



ヤジロベー 「こんなに強いヤツ、はんずめてだ」
悟空 「おら、思いっきり蹴ったのに、全然堪えてないみてぇだ・・・」
ヤジロベー 「只者んじゃねぇ」
悟空 「一体誰なんだ、コイツ・・」



悟空は世界から最強の武道家が集まる天下一武道会で、天津飯に敗れはしたものの準優勝した。もう世界には自分と五分に渡り合える人間などほぼ皆無だと思っていたに違いない(悟空は純朴だからそこまで考えないかも)。そこに現れたのがデブなのに、自分とほぼ同等のスピードとパワーとタフさを身につけたヤジロベーだった。
ヤジロベーは、武道を本格的に修行した悟空とは違い、ただジャングルで生き抜いてきただけである。ヤジロベーの生きることへの執念は、こともあろうにあの亀仙人の実力をも凌駕してしまったのである(身体能力という点で。気功は使えないですが・・)。

悟空はヤジロベーを敵と勘違いしたことを詫び、ドラゴンボールのことや、殺されたクリリンのことを話す。しかし、ヤジロベーにはどうもでよい話。「朝飯を吐き出せ」と悟空に詰め寄るが、その前にピッコロ大魔王の手下であるシンバルが現れる。ヤジロベーは朝飯代わりにシンバルを一刀両断。そのままシンバルを食べてしまう(大食漢の悟空も、さすがにシンバルを食べるヤジロベーに引いていたが・・)。悟空はヤジロベーが仲間として、一緒に悪いヤツ(ピッコロ大魔王)と戦ってくれると思うのだが、この時点でのヤジロベーは、悟空に全く興味がない。それどころか、やっかいごとに巻き込まれるのはもう懲り懲りだと、付きまとう悟空を邪険に扱うのである(ヤジロベーのこれまでの生き様を考えれば、至極自然な行動)。

そして、悟空とヤジロベーの前にピッコロ大魔王がやってくる。ヤジロベーは「ピッコロ大魔王」の話を知っていたらしく(たぶん、お爺さんから昔話で聞いていたのでしょう)、持っていたドラゴンボールを悟空に渡して雲隠れしてしまう。案の定、悟空はピッコロ大魔王に心肺停止状態にさせられる。勇敢な悟空に対し、影から見ているだけで助けないヤジロベー。ピッコロ大魔王に悟空が殺される場面は、初代DRAGONBALLの中で最も壮絶なシーンで、「ヤジロベー=薄情で臆病者」というイメージを視聴者に植えつけてしまったと思われる。そして、次のセリフ。


ヤジロベー 「孫が殺されるなんてよ。相手が悪かったよな」
ヤジロベー 「いちおう、埋めて墓でも作ってやるかな」
ヤジロベー 「食ってもあまり美味そうじゃねぇし」(←食うつもりだったのかよ!)



上記のヤジロベーのセリフは実に興味深い。目の前で人間が殺されても全く驚かずに平然としている。これはヤジロベーが、毎日死と隣り合わせに生きていたことを意味する。ヤジロベーはその後、悟空に対して「俺が一番嫌いなことは死ぬことだ」と話すのだが、まだ年端も行かぬ子供(このときは15歳くらい?)で、このセリフは普通出てこないだろう。ヤジロベーは過酷な生活から、「死んだら何もかもおしまい」であることを悟っており、ピッコロ大魔王に立ち向かうことを自然と避けたのである。ヤジロベーには高性能な危機回避能力があるようで、ピッコロ大魔王を一目見ただけで、自分には到底かなわないことを見抜いてしまったのだ。

だからといって、目の前で人間が殺されるところを平然と見ていたヤジロベーの行動が、正しいとは思えない。何か手助けをしてあげるべきだったのだ。しかし、出会ってからわずかの人間を命をかけてまで、助けようという気にはなれなかったのだろう。この考察を書いている俺だって、目の前でピッコロ大魔王が虐殺をしているところへ、ノコノコと助けに行けるとは思えない(友達や家族ならば話は違うだろうが)。この時点でのヤジロベーは、"気ままな風来坊の生活"を壊されることが嫌であり、単純に自分のことを考えるだけで他に余裕がなかったということか。だが、このとき悟空を見殺しにしてしまったことは、後にヤジロベーの精神的な成長を考える上で、1つの重要なポイントになる


ヤジロベーの本当の心

これまで考察(妄想)してきた結果から、ヤジロベーのポリシーが見えてくる。俺が考えるに、ヤジロベーは物語の最初から最後まで、首尾一貫したポリシーの基で行動している。それはヤジロベーが常々口にする以下のセリフだ。

@「俺が一番嫌いなことはよ、死ぬことだ」
A「うまいもん食わせろ」
B「ヤバイことに関わりたくねぇしな」

ヤジロベーが過酷な幼少時代から学んだ生きるための哲学。実は@ABと数字を付けたのは、この3つのポリシーの中にも優先順位があるからだ。ヤジロベーが最も重要視するポリシーは@の「一番嫌いなことは死ぬこと」である。

ピッコロ大魔王に殺されたと思われた悟空だが、心臓が再び鼓動し始める。「水・・水っ・・」と必死に助けを求める悟空を、ヤジロベーは急いで抱え上げ、水を飲ませてあげる。さらに「カリン塔へ連れて行って欲しい」という悟空の願いに対し、「うまいもんをいっぱい食わせろよ」とちゃっかりと見返りを要求はするものの、きちんとエアカーで運んであげるのだ。この行動は「ヤバイことには関わりたくない」というヤジロベーのポリシーから外れているように思えるが、実は外れていない。なぜならヤジロベーは「死んだらすべてが終わり」であることを一番理解しており、目の前で死に行く悟空を、自分が死ぬことに重ね合わせ、そのまま放ってはおけなかったのだ(ピッコロ大魔王が去った後なので、自分が死ぬこともないし・・←このへんはちゃっかりしている)。


3つのポリシーはあらゆる場面で適用できるのだが、例えばエアカーで悟空をカリン塔まで運んだ後のやりとりを考えると分かりやすい。

悟空 「おら、もう一度カリン塔に登る」
ボラ 「しかし、そのケガではムリだ」
悟空 「大丈夫。ヤジロベーが連れてってくれる」(←さすがは天然。言う事が違う)
ヤジロベー 「なっ!なんだと!」
悟空 「ヤジロベーなら登れるよ」(←そういう問題じゃないだろ)
ヤジロベー 「フン。俺はごめんだ。これ以上ヤバイことに関わりたくないもんな」
ヤジロベー 「それにご馳走食わしてくるっていうから来たんだけんど、こんな小生意気なガキにご馳走になりたくないしよ」
ウパ 「こっちだってごめんだ!」


その後、悟空の天然な誘惑攻撃が開始。

悟空 「ご馳走はあの塔の上にあるんだぞ」
ヤジロベー 「ウソこけ!」
悟空 「おら、いっぺん食ったことあんだけど、すげー腹ふくれた」
ヤジロベー 「どんなご馳走だよ?」
悟空 「仙豆っていうんだ」
ヤジロベー 「センズ? 変な名前だな?」
悟空 「仙人のご馳走だ」(←絶妙な誘導の仕方だ・・)
ヤジロベー 「・・・。しっかり捕まってろよ。落ちても知らないからな」(←あっさとりと釣られる)
悟空、してやったりの笑顔→の図。


まるで悟空のオレオレ詐欺のような会話にあっとりと騙されるヤジロベー。言っていることは間違っていないのだが、なんか悟空のほうがちゃっかりしているような気がするのだが・・。

それは置いておいて、ヤジロベーは悟空をカリン塔の下まで届けた後、そこにウパという仲間がいることを知る。悟空から死の危険がなくなった時点で、ヤジロベーの心は「うまいものが食べたい」という欲求に変わる。しかし、ご馳走が食べられないことを知って怒るのかと思いきや、「カリン塔に登れ」という不当な要求に、「やっかいごとはゴメン」とばかりに帰ろうとする。しかし、そこはヤジロベーの食い意地が勝るところ。悟空の巧みな話術により、多少のやっかいごとならばガマンする覚悟でカリン塔を登ることを決意する。この悟空とヤジロベーのやりとりは、天然の騙しあいのように思えて、ある意味微笑ましい。

このように、ヤジロベーの行動はすべて3つのポリシーで説明できると思われる。しかしヤジロベーには、実はもう1つの隠れた心がある。それは「できることなら他人の力になりたい」という願望だ。ヤジロベーは本質が善人であり、決して悪いヤツではない(その証拠にヤジロベーが無駄に殺生をする場面はない)。ただ上記の3つのポリシーが邪魔をして、本質が非常に見えにくいキャラクターになっていると思う。例えば、瀕死の悟空をカリン塔まで運んであげたのも、「本当は悟空を助けてあげたい」という心が、そうさせたと思うのだ。表向きでは「カリン塔に連れてってやるから、うまいものを食わせろ」とギブアンドテイクの約束をしているのは、ヤジロベーが自分の本当の心を知られたくないという、無意識に出た言葉かもしれない。

ヤジロベーの本当の心。「そんなものがあるのかよ?」と思った読者の方に、ヤジロベーが思わず本心を顔に出てしまうシーンがあるので、そちらを紹介しよう。

悟空は超神水を飲んでパワーアップする。そして、若返ったピッコロ大魔王に立ち向かうが大苦戦。腕一本を残してすべてを封じられてしまうが、最後の力を振り絞ってピッコロ大魔王の体に風穴をあける。これは初代DRAGONBALLで最も感動的な場面の1つだ。「勝ったぞー!」と悟空は涙を流して叫ぶが、そのまま地面に真っ逆さまに落ちる。天津飯も動けずに助けることはできない。


そこへ現れたのが、「ご馳走食わせるといって、まだ果たしてねぇじゃないか」とブツブツと文句を言いながらやってきたヤジロベーである。なんだかんだで悟空が心配でコッソリとやって来たのだ。ヤジロベーは落下する悟空を、見事に空中でナイスキャッチ。そして、そのあとの悟空とヤジロベーの会話。

ヤジロベー 「オッス!」
悟空 「あれ、ヤジロベーか、おめぇ・・?」
ヤジロベーは悟空を逆さ向きに抱いたまま、自分の顔の位置まで引っ張り上げる。
悟空は自分を助けてくれたのが、ヤジロベーであることに、びっくりする。
思わず苦笑いするヤジロベー。
ヤジロベー 「えっへへへへっ」
悟空 「あはははは」
悟空も、そんなバツが悪そうなヤジロベーを見て、思わず笑ってしまう。
ヤジロベーの苦笑いは、いつの間にか心の底からの暖かい笑いに変わる。



このシーンは、ヤジロベーの本当の心が表現された重要な場面だと思う。ヤジロベーは悟空がピッコロ大魔王を倒して、世界を救ったことが分かっていた。そんな悟空に「おめぇは、本当にすげえヤツだな」と直接言葉で話しかけずに、ただ心から笑いかけるのだ。一方の悟空は、ヤジロベーの笑顔を見て、彼の本当の心を知る。初めて2人の気持ちが通じ合った瞬間ではないだろうか

(ちなみにヤジロベー×悟空というのもアリなのかなと思えてきました・・・)

一番初めに書いたが、ヤジロベーは不思議と憎めないキャラクターである。その理由は、ヤジロベーが決して悪人はなく、なんだかんだで肝心なところでは助けにくるという点にある。つまり非常にまわりくどい方法で心根の良さをチラチラと見せるのだ(照れ屋さんなのかな?)。常に現実と理想を天秤にかけるヤジロベーは、内心では自己矛盾を抱える人間らしい側面を持っていることも、共感できる部分だと思う

「DRAGON BALL」の登場人物の中では、ヤジロベーは自分勝手で嫌なやつように感じられるが、それは大きな間違いである。ヤムチャ、天津飯、ピッコロ、ベジータ、人造人間、魔人ブウ。みな誰よりも強くなることを目的とし、強いヤツと戦うことを第一としている。仲間になる前は、平然と人を殺していたのだ(ヤムチャはちょっと微妙だが・・?)。悟空の大親友であるクリリンだって、最初はかなりイジワルな人間だった。

しかしヤジロベーは物を盗んだり、多少のウソをつくことはあっても、人にイジワルをしたり、人を殺める描写はひとつもない。これはヤジロベーが根本的に善人であることを意味している。そもそもヤジロベーは悟空の好敵手ではないのだ。ただ平穏に暮らしたいという普通の感覚の人間である。しかし、物語を漠然と見ていると、ピッコロが命がけで悟飯を救ったり、ベジータが悟空をライバルとして助けたりするシーンが強烈で、知らぬ間にベジータまでも「いいヤツ」に思えてしまい(この辺は少年ジャンプ得意の友情モノの典型ですが・・)、逃げてばかりのヤジロベーが卑屈に感じてしまう。
そういう意味では、ヤジロベーは非常に損をしているキャラクターだと思う。それが残念でならない


服装など

ヤジロベーの服装は純和風で、橙色の着物を帯で結び、腰に帯刀をしている。足にはワラジ。手首(と足首)には靱帯の保護用にリストバンドをしている。着物は帯1つで結んでいるために、動けばずれ落ちそうなのだが、意外とガードが堅くて崩れることはない。
DRAGONBALLの世界観は、中華風(元は西遊記)のイメージだ。ヤジロベーの服装は、悟空の仲間内では1人だけ格好が妙に浮いている感じがする(ピッコロやベジータは宇宙人なので論外として)。ヤジロベーは、この格好でジャングルをずっと風来坊として生活していたわけで、よほど着物が気に入っていたか、動きやすかったか、それともお爺さんの遺言なのだろうか。

そしてヤジロベーの最大の特徴が「ちらちらと見え隠れするフンドシ」である。この赤フン、ヤジロベーが座ったり、寝転がったりするだけでチラチラと見え隠れするというあざとさ。カリン様が鼻血を出しながら、一緒に住みたくなる理由も分かる(←ォィ)。しかも、DRAGONBALLに登場するキャラクターの中で、もっともパンチラ(フンチラ)するキャラクターが、女の子ではなくて、ヤジロベーというのはどういうことなんだろう(笑)。作者の鳥山さんが、フンチラリズムのエロさを世間に広めたかったとか?(^^; そもそも着物でフンドシのデブショタっ子というのは、他には「いなかっぺ大将」の風大左衛門くらいな気がするし、今後ヤジロベー以上のフンドシのデブショタっ子が現れるのかは非常に微妙である。フンドシフェチの人は絶対にチェックしなければならないキャラクターだと思う。
フンチラシーンについては、後述する「カリン様の日記」にまとめて見たので、そちらを参照してください。

服装以外では、コロコロした体型と、ボサボサの頭が特徴。サイヤ人のように黒髪で全く髪型が変わらない(しっぽが生えていれば、ヤジロベーがカカロットに間違われてもおかしくない)。ヤジロベーの場合は、おしゃれな長髪ではなくて、単に野生児で髪の手入れをしていないだけなので、俺はこのボサリ具合が可愛らしくて好きだ。さらに全体として鳥山キャラ特有のデフォルメさがイイ。肌の色を黒くして、細目をクリ目にすれば、そのままモコモコになってしまうし・・・。2人並べてみると面白いかも。
ちなみに、ヤジロベーは外国のデブショタ専ページを見ると、大人気。和風の着物とフンドシというスタイルが、日本かぶれの外人にウケがいいのだろうか? モコモコも大人気のようなので、鳥山明アニメが広まっているせいもあるのだろうが。


グルメ?

PS2版の「DRAGONBALL Z Sparking METEOR」のキャラクター紹介で、チチがヤジロベーのことを「食い意地の張ったお行儀の悪いヤツだ」と言っていた。初めて聞いたときは「なんてひどいことを言う女だ!」とムカツいていたのだが、本編を見ているうちに、やはりチチの言うことが正しいように思えてきた(笑)。ヤジロベーの食い意地は、これまで考察してきたどのキャラクターよりも凄まじい。

例えばピッコロ大魔王から生まれたシンバルに勝利した後、ヤジロベーはシンバルを丸焼きにして食べてしまう。しかし、よく考えて見るとシンバルは戦う前まではヤジロベーと人間の言葉で会話をしていた。いちおう魔族とはいえ、人間に近いものなのだ(シンバルはピッコロと同じ、あのナメック星人なのである)。ナメック星人を焼いて食べるヤジロベーって一体・・(食い意地の張りすぎです!)。「ガス」や「モコモコ」や「チョウジ」だって、さすがに会話していた敵を食べる描写はないし(笑)。
しかも、シンバルを丸焼きにしたときの悟空とヤジロベーの会話も面白い。

悟空 「お、おめー、本当にこれ食うのか?」
ヤジロベー「当たりめぇだ。おめーには食わせてやらねーぞ」
悟空 「い、いらねぇよ・・」(←悟空、かなり引き気味)
ヤジロベー 「うまそうだな」(←焼けた肉を食べようとする)
悟空 「おい、まだ焼けてねーみてーだぞ」(←いちおう、興味はある)
ヤジロベー 「おめぇ、グルメじゃねぇな。肉はな、少しぐらい生の方がうめぇんだ」
シンバルを美味しそうに食べる。
ヤジロベー 「うめえ!こりゃうめぇぞ!!」
そのままシンバルを骨の髄まで食べ尽くすヤジロベー。


悟空もかなりの大食漢であるのだが、ヤジロベーには到底敵わない。シンバルを食べて満足したかと思いきや、「もっと食いてーなー。これじゃ、まだ足りねーぞ」って、お前どんだけ食べるんだよ! 次にビッコロ大魔王の手下であるタンバリンが襲ってきたときも、ヤジロベーはタンバリンを食べようと、ちゃっかり火を起こして待っているのだ。すっかりナメック星人の美味の虜になってしまったらしい(しかし、さすがにピッコロ大魔王は食べようとは思わなかったようだが)。

ヤジロベーの食い意地は留まるところを知らない。悟空が心配停止状態になったときは「食っても美味そうじゃないし」と悟空まで食べようとしていた。また、カリン塔で仙豆を30粒まとめてほど食べたことがことがあるのだが、カリン様が「あっ・・あっ・・」と冷や汗を流す中、ヤジロベーは一気に腹が膨れ上がるだけで胃袋が破裂することはなかった(単純に計算して、10日×30=300で約一年分の食料を一気に食べたことになるのだが・・)。さらに、仙豆を30粒食べた次の回では、「腹減ったなー」と食べ物を探す。どんな胃袋してるんだよ! 消化早すぎるだろ(笑)。

さらに、超神水(猛毒で飲めばパワーを得られるが、ほとんど死ぬ薬)を間近に見て、興味があったのか「ちょっとだけな」と味見をする(そのあと七転八倒して、のたうち回っていたが・・)。

おそらくヤジロベーは、過酷なジャングル生活の中で食べ物にありつけることの喜びを知っている。ジャングルの中で鳥類、魚類、爬虫類、なんでも食べてきたヤジロベーは、どんなゲテモノでも食してしまうのだ。生き延びるしかないジャングルの中では、おいしい食べ物にありつくことが、唯一の楽しみだったのだ(意外と寂しいぞ)。そして、いつのまにか食べることが趣味になったと考えられる(ということで、結論はヤジロベーはグルメではなく、単なる大食い)。


ヤジロベーの潜在能力

ヤジロベーは地球人の中では、ダントツに基本的な身体能力が高いと思われる("地球人の中では"が重要)。ヤジロベーはジャングルで生活していただけなのに、初登場時で悟空と互角に渡りあうほどの超人的な能力を持っていた(本格的な武術修行をしていないことを考えると、悟空よりも凄いかも?)。もちろん、かめはめ波などの気功は使えないのだが、身体的な能力では亀仙人やクリリン、ヤムチャよりも上だったと思われる。その証拠に、カリン塔を悟空を背負ってほぼ半日で登ってしまったし、太平洋(?)を数分で泳ぎきってしまうし(ヤジロベーが本気になれば、エアカーに乗る必要はない)、魔族(ナメック星人?)と互角に渡り合うし、8000mはあるカリン塔から落ちても死なないし(笑)。また、「相手の実力を見抜く能力」(危機を察知する能力の高さ)も卓越しており、天下一武道会では、シェンの能力をいち早く看破している。

さらにサイヤ人来襲時には、カリン様の命令で本人が望みもしないのに、天界にまで呼ばれて修行をさせられたことからも、神やカリン様は、ヤジロベーに只ならぬ潜在能力があることを見抜いていたのだろう(←ちょっと誉めすぎかも。でもヤジロベー以上の能力を持つ人間がいたら天界に呼ぶだろうし・・チャパ王とか、ミスターサタンとか(笑))。

しかし、ヤジロベーは己を磨こうとはしない。天界での修行も1人でせんべいを食べていただけで、クリリンの攻撃をヒョイヒヨイと交わしてやる気ゼロ。クリリンに「ヤジロベー、真面目に修行しろ!」と怒られていた(そのあとクリリンはヤジロベーの逆襲にあって、ケツを噛まれていたw)。やる気のないヤジロベーが天界で数ヶ月間も修行に付き合ったこと自体が驚きなのだが、天界にいれば、いつか美味いモノが食べられるという好奇心で居座っただけかもしれない(結局、何も食べられなかったようだが)。

ヤジロベーにとっては、天界に呼ばれることなど甚だ迷惑な話である。いままでの考察から理由は説明する必要はないと思うが、ヤジロベーが求めることは「強くなること」ではないからだ


ちなみに、2ちゃんねるのドラゴンボール板で見つけた、「ベジータ編」でのヤジロベーの戦闘力。

キャラクター通常時変化後
孫悟空50008000→21000以上(界王拳)
ピッコロ12201952→3500(魔貫光殺砲)
孫悟飯9811569→2800(魔閃光の気の集中)
クリリン10831770
ヤムチャ9251480
天津飯10401664→1830(気功砲)
餃子381610
ヤジロベー606970(剣使用時?)
220-

ヤジロベーはすでに神を超えていたのか! あとは舞空術を覚えれば1人で地球征服できるじゃん。それにしても、ヤジロベーは天界の修行で、ただ重い服を着て、せんべいとトウモロコシを食べていただけなのに、このパワーアップのしかたって・・!? これってすごくねぇか・・?(DRAGONBALLの戦闘力のいい加減さは分かっているけど・・) それだけに、ヤジロベーがもし本気で修行に取り組んでいたら・・と考えると残念でならない(いや、本気で修行しないからこそ、ヤジロベーなのだろう)。


カリン塔

ドラゴンボール完全公式ガイドによると、「ヤジロベーは普段はカリン塔で暮らしている」とある。なんとなくだが、ヤジロベーはカリン塔に住んでいるというよりは、カリン塔を拠点として暮らしているという解釈のほうが正しい気がする。自由奔放なヤジロベーのこと、常にカリン塔にいるわけではなく、世界をあちこちを旅をしながら美味いものを探し、自分の家のようにカリン塔に帰っていると思うのだ。
では、どうしてヤジロベーがカリン塔に居つくようになったのか? ヤジロベーはジャングルを旅する風来坊であった。特定の居住を持たず、他人とのゴタゴタを避けて、気ままに暮らすのがヤジロベーの夢だったはず。ならば、カリン塔に住み着く理由はないように思える。

しかし、先に書いたヤジロベーのポリシーに照らし合わせると、その理由がおのずと見えてくる。ヤジロベーが嫌いなことは「死ぬこと」と「やっかいごとに巻き込まれること」である。カリン塔は地上約8000mの上空にあり、登れる人間はほぼ皆無である。カリン塔の頂上には仙猫であるカリン様がいるだけで、他には野獣も悪人もいない。過酷なジャングル生活とは違い、命の心配をする必要は全くない。つまり、カリン塔は地球上で最も平穏で安全な場所の1つといえる。それがヤジロベーがカリン塔に住み着いてしまった理由だと考えられる(ただし、眠っているところをデブショタ専のカリン様に襲われる可能性は高いが・・・←ぉぃ)。


また、カリン塔には「仙豆」という食べれば10日間は食事いらず、重症もすぐに直してくれるという夢のような食べ物がある。ヤジロベーが仙豆を食べたときに「俺様はグルメなんだ。ただ腹が膨らめばいいってもんじゃねぇや」と仙豆を美味いものとは認めていなかった発言があるが、これは全くのウソである。ヤジロベーほどの大食漢が、仙豆を見逃すはずがない。なにしろ10日間も食事いらずで、しかも疲れた体が元に戻る食べ物など、この世には存在しないのだから。グルメなヤジロベーには究極の食事だったのである。
当初は壷に一杯あった仙豆が、何年かしてとても貴重な食料になってしまったのは、ヤジロベーが食べてしまったからだと推測できる。ヤジロベーは仙豆を食べて体がさらに健康で丈夫になり、カリン塔を何百回と往復することにより体力も鍛えられる(最終的にはカリン塔を1分で登れるようになったと予想)。ロクな修行もせずに戦闘力が900近くあったのはこのためだろうか(ヤジロベーの場合、横着してエアカーでカリン塔を登る可能性が高いが、カリン様が許さないのでそれはないと推測)。

また、ヤジロベーは「やっかいごとに巻き込まれるのはゴメン」といいつつ、なんだかんだで1人でいるのは寂しいはずである。カリン様は、推定年齢800歳で、物事を達観した立派な人物だ。ヤジロベーはカリン様が自分のようなひねくれ者でも受け入れてくれる仙猫だと知り、不遜な態度を取りながらも、カリン様にだけは自分の本当の心を、話していたかもしれない(2人だけで夜は何をやっているんでしょうかね〜? あんなことやこんなことまで・・(笑))。ヤジロベーとカリン様は名コンビのように言われるが、ヤジロベーはカリン様を内心では死んだお爺さん(妄想です)のように思い、カリン様もヤジロベーを子供のように可愛がっていたのかも(←カリン様に甘えるヤジロベー? だったらいいなーという妄想です。年齢的には老人と子供だしw)。
ちなみに誰かがカリン塔を訪ねると、階段の下からヤジロベーとカリン様が一緒になって階段を昇ってくるシーンが多い。カリン塔の1階部分は寝室や台所があるはずで、一体2人でなにをしているのやら・・・(確実にカリン様に童貞を奪われているとは思いますが←ォィ)。

ヤジロベーはカリン塔に居候しているために、カリン様には頭があがらないようだ(口では「カリン」と呼び捨てにしているが)。その証拠に、やりたくもない天界での修行を嫌々ながらこなしていたし、悟空たちのピンチには仙豆をもってかけつけてくれる(これもカリン様の命令)。しかし、ヤジロベー自身も悟空たちのことが本当は心配で、自分の出来る範囲で手助けをしようと、意外と率先して仙豆の届け役を買って出ていたとも思われる。カリン塔にいれば、悟空たちとの動向が分かるのだから。


ヤジロベーの剣術

ヤジロベーといえば「日本刀」。「日本刀」といえばヤジロベー(これは違うか)。肌身離さず脇に差している日本刀は、ヤジロベーになくなてならないアイテム(武器)である。
DRAGONBALLの公式ムックには、「ヤジロベーが一流の剣士である」とは一言も書かれていないのだが、インターネットをザッと徘徊すると、ヤジロベーはDRAGONBALLの世界では「剣豪」とか「剣士」というイメージが強いらしい。実際、PS2版の「DRAGONBALL Z Sparking METEOR」でも、ヤジロベーはひたすら剣で斬って斬って斬りまくる。本編でも剣を一回転させて鞘に収める姿もなかなかサマになっている。しかし、ヤジロベーは本当に"剣士"なのだろうか?


実はアニメ本編では、ヤジロベーは剣を正面から構えて戦ったことは一度もない。ヤジロベーが一対一で戦うシーンは、対悟空戦と対シンバル戦だけだ(天下一武道会の予選もあるが)。しかし、そのどちらもほとんどがパンチやキックといった武術をメインに戦っているのだ。

もしヤジロベーが剣を自在に操る生粋の剣士であれば、最初から剣を鞘から抜き、正面から構えて戦うのが自然である。なぜならば、素手で戦うよりも、剣を抜いて戦ったほうが、リーチが長くて圧倒的に有利だからだ(あくまで一般論。DRAGONBALLの世界では気功波があるので素手でも強いかも・・)。さらにヤジロベーは、「俺が一番嫌いなことは死ぬことだ」というポリシーがあるので、なおさら剣を抜いて戦う方が自然である(勝算が高くなるし)。 しかし、ヤジロベーはそう簡単には剣を抜かない。なぜだろうか?

おそらくヤジロベーは、剣術よりも武術(体術)の方が得意なのではないかと思われる。それはヤジロベーの恵まれた体躯と、俊敏な動き、例えばシンバルを蹴り飛ばしたときのジャンプ力とスピード、そしてパワーを見れば分かる(蹴った後、空中で一回転できる身軽さ)。そして、武術ではどうしても倒せない相手にだけ、剣術を使うのだ。つまり、剣術は最後の切り札(悟空のかめはめ波みたいなもの)なのである。



ヤジロベーの剣術は、猛スピードで敵に近づき、刀を抜いたと同時に相手を斬り付ける「居合」である。ネットで調べたのだが、居合は主に相手に不意を食らわして初段でケリをつけるための技らしい。つまり、ヤジロベーは武術で相手を押し込んでいき、刀を使う素振りそぶりを一切見せない。そして最後の最後で相手の"不意をつく"形で神速な居合を使い、敵を真っ二つにするという攻撃スタイルだと考えられる。

その攻撃スタイルが顕著に現れているのが、対シンバル戦だ。武術で予想以上に苦戦を強いられたヤジロベーは、一気に間合いを詰めて不意の一撃でシンバルを仕留める。また、ベジータ戦でも不意に襲い掛かってシッポを斬り落とす。卑怯に見える戦法だが、ヤジロベーの剣術は不意打ちスタイル(?)なので、たぶんこれが正しい。居合は敵に近づいて攻撃するため、失敗すれば逆に大きな隙ができ、反撃される可能性が高い。シビアなタイミングと正確性が要求される高度な技だと言えるだろう。



では居合以外での剣術はどうなのかというと、実はあまり得意ではないらしい。ベジータに不意打ちを食らわした後、逆襲されるシーンがあるのだが、そこでのヤジロベーの剣の使い方はもうメロメロ。剣をバットのように両手で握り、ただ振り回すだけ。焦っていたこともあるのだろうが、もし彼を剣士と呼ぶのであれば、なんとも情けない姿である(さらに途中で剣を落としてしまったし・・)。

俺が妄想するに、ヤジロベーを育てたお爺さんは居合の達人であり、居合の型(?)だけを教えて他界してしまったと思われる。そこでヤジロベーは、得意の武術と必殺の居合を組み合わせて敵を倒すという、自分なりの格闘スタイルを考えたのだと推察できる。だからヤジロベーは純粋な剣士というよりは、武術と剣術を組み合わせた総合武術家(ってなんだよ・・)というのが正しいのだろう。「居合の達人」という意味では「一流の剣士」あるかもしれないが。


ちなみにヤジロベーの刀の切れ味はハンパではなく、魔族やベジータの尻尾を一刀両断にしたことからも、かなりの名刀であることが伺える(先に考察したが、刀はヤジロベーを育ててくれたお爺さんの形見と妄想)。おそらく地球上のもので斬れない物はないほどの殺傷力を誇る(五右衛門の斬鉄剣なんでしょうかね・・)。しかし、ヤジロベーにとっては剣が名刀であれなんであれ、関係ないらしい。生きるための必需品でもあるようで、木を切ったり、肉を切ったりするのにも刀を使っている。ますます手入れをしないと錆びてしまいそうなのだが、おそらくヤジロベーの刀はオリハルコンで出来ており(突然ファンタジーの世界なのは、気にしないでください)、しかも金属生命体のためにお手入れ不要(自動修復)だという説にしておこう(これですべての説明がつく←ォィ)。

ちなみに未来から来たトランクスの剣が、人造人間に殺されたヤジロベーの剣を打ち直したものだとしたら、色々と妄想できそうな感じなのだが・・・(トランクスの剣は、劇場版では勇者タピオンから譲り受けたことになっているみたいだし、違うのかな?)


ヤジロベーの成長

ヤジロベーは初登場からほとんど容姿に変わりはなく、ムスッとした性格もずっと変わらない。だから、ヤジロベーには全く成長していないように思えるのだが、そんなことはない。ベジータ編では彼の成長した姿を垣間見ることができる。

ベジータとナッパは、何でも願いを叶えてくれるドラゴンボールの存在を知り、地球へやってくる。その間にヤジロベーは神様から修行を無理やりさせられるが、危機意識はゼロ。サイヤ人と戦うのは他の人間に任せて、自分が出る幕はないと考えていたのだろう。
地球にやってきたベジータとナッパは、想像をはるかに超える強さだった。ナッパ1人に仲間が次々と死んでいく中、ヤジロベーだけは相変わらず雲隠れ。しかし、ヤジロベーの心は複雑だった。ヤバイことには関わりたくない。だからといって、数ヶ月間一緒に過ごした仲間たちがどうなっているのかは心配だ。特に悟空の力にはなりたいと思っていたのであろう。ヤジロベーはなんだかんだで悟空の気を探って、近くまで様子を見に来るのである

界王拳をマスターとした悟空とベジータの戦いは、ヤジロベーの想像をはるかに超えていた。それは次のセリフから明白に分かる。

ヤジロベー 「近くまできやがったで、しょうがなく様子を見にきたら」(←いちいち言い訳するところがヤジロベーらしい)
ヤジロベー 「あの野郎も悟空も強すぎて、まるで悪い夢さ見てるみてぇだ」
ヤジロベー 「まずいぞ・・サイヤ人の野郎が圧倒的に押してやがる」(←ちょっと見ただけで見抜く)
ヤジロベー 「今のうちに逃げた方がいいだや。うん、逃げるべきだぎゃ」
ヤジロベー 「俺がいたってしょうがねぇだし・・な?」(←誰に同意を求めているんだか)


実はこのシーン、以前に悟空がピッコロ大魔王と戦ったときと皮肉にも全く一緒である。岩場の影から、悟空とベジータの戦いを見ているだけなのだ。ただし、ピッコロの大魔王のときは明らかに違う。ヤジロベーは自己弁護をして逃げようとするのだが、彼の心がそうはさせない。すでに口で言うことと、行動が矛盾しており、激しい葛藤が始まっているのが分かる。
ベジータはパワーボールで人工的に月を作り出し、大猿に変身。悟空は、戦闘力が10倍になったベジータに成すすべがない。さらにベジータに体を潰されて瀕死の重傷に。悲痛な叫びをあげる悟空に対し、ヤジロベーは自分で自分に言い聞かせるように、見てみないフリをする。

ヤジロベー 「俺は見捨てた訳じゃねぇだべな」
ヤジロベー 「どうしようもねぇんだからな」
ヤジロベー 「お、俺を恨んじゃいかん」
悟空 「うわわぁぁぁぁぁ!」
ヤジロベー 「ううっ・・」


悟空の悲痛な叫びに、ヤジロベーは思わず耳を塞ぐ。このときにヤジロベーは思い出したはずだ。以前に自分が悟空を見殺しにしてしまったことを。目の前でピッコロ大魔王に成すすべもなく殺された悟空の無残な姿が、ヤジロベーの脳裏にこびり付いていたのだ。しかも、今回はピッコロ大魔王以上に、圧倒的な強さを誇るベジータが相手だ。自分の力ではどうしようもない。ヤジロベーの心は揺れる。死を覚悟して助けるべきか、それとも見捨てるか。どうせ地球が滅亡すれば死ぬのは同じなのだから。

悟飯とクリリンは気円斬を使ってベジータの尻尾を斬りおとそうとするが失敗。クリリンは、ベジータの戦闘力の前に、悟空を助けるどころか、近づくことすらできない。もはや全員が万事休すと思った瞬間。

ヤジロベー 「ぬぉおおおおお!」


それは悟空を救ったヤジロベーの捨て身の一撃だった。全員がア然とする中、ヤジロベーはベジータの尻尾を斬りおとすという、とんでもない離れ業を見せたのである。これには拍手を送りたい。戦闘に一切加わろうとしなかったヤジロベーが、不意打ちとはいえ、悟空を助けるために命をかけてベジータに立ち向かったのだ(失敗すれば、ヤジロベーは悟空の仲間として殺されることは確実)。このあと怒り狂ったベジータはさらに暴れ続けるが、ヤジロベーはベジータを背中から斬りつけたりと、ここ一番で大活躍をみせる。最終的にベジータに渾身のパンチを喰らって殺されそうになったが(よく死ななかったと思う)、ヤジロベーは命をかけて、"最後まで逃げずに"仲間とともに戦ったのだ(得意の不意打ちスタイルだが・・)。


悟空との出会いは、ヤジロベーの人生そのものを変えた。それがヤジロベーにとって幸だったのか不幸だったのかは分からない。しかし、ヤジロベーは、悟空がピッコロ大魔王から世界を救った瞬間を目撃し、カリン塔や神様が存在することを誰よりも早く知った。そして世界には、天津飯やクリリンのような、とんでもなく強いヤツらがいることを知り、自分も修行すれば彼らの仲間に入ることができると分かった。だが、ヤジロベーは仲間になることを意図的に避けた。なぜなら、ヤジロベーの目的は強くなることではなく、気ままな生活を送ることにあるのだから。しかし、自分に超人的な力があるのも事実。だから、ヤジロベーは現実から目を逸らすことはできなかった。

ヤジロベーは表面では悟空に素っ気無く接しているが、本当は悟空が自分のことを友達として(一番の友達ではないにしろ)接してくれる唯一の人間だと分かっていた。なぜなら、ピッコロ大魔王を倒したとき、ヤジロベーと悟空は心が1つにつながったからだ。戦う仲間だけが友達ではない。見守る友達もいるのである。友達に順位なんて関係ない。だからヤジロベーは、どんなに素っ気無い言葉や態度をとっていても、カリン塔で悟空の動向を知ると、危機には仙豆をもって参じる。そして悟空だけてなく、悟空の仲間も助ける。「俺が一番嫌いなことは死ぬことだ」というポリシーは、いつのまにか「俺が一番嫌いなことは、悟空とその仲間たちが死ぬことだ」に変わったのだと思いたい。



ヤジロベーのCVは田中真弓さんがされていた。天空の城ラピュタのパズー、獣神ライガーの大牙剣、魔神英雄伝ワタルのワタル、ONE PIECEのモンキー・D・ルフィなどの数々の主人公のCVを担当している大御所である。DRAGONBALLではクリリンの声も担当しており、クリリンとヤジロベーの声が似ているという原作の意向からか、同じ田中真弓さんが担当されていた。ただ、クリリンとヤジロベーの区別をつけるために、ヤジロベーは妙な名古屋弁を喋るようになった(原作では名古屋弁ではない)。しかし、この妙な話口調とテンポの良さが、ヤジロベーを原作よりも親近感が沸くキャラクターにしていたと思う。この選択は非常によかったのではないだろうか?


とんだデブショタ専人 カリン様の日記


カリン塔に住む仙猫、カリン様。しかし、とんでもないデブショタっぷりが発覚しました(カリン様はこっちよりのネコということで←ォィ)。

○月×日 晴れ
神様から塔の番人に任命されて、かれこれ800年。下界は戦争と平和を繰り替えして慌しいが、わしはあくまで中立公平な立場だから、何も手出しはできん。実は暇で暇でしょーがないのだ。そんなわしの唯一の楽しみは、水がめに浮かびあげる下界を見ながら、大好きなデブっ子を探すことじゃ。最近知ったのだが、この行為はデブショタウォッチングというらしい。今日も可愛いデブっ子を1人見つけて、わしは年甲斐もなく大はしゃぎ。しかし、直接話すことも触ることもできないのが残念でたまらん。欲求不満が爆発しそうじゃ!


△月□日 晴れ
1人で塔のてっぺんにいるのは退屈。だからわしは2つの趣味を持っておる。1つは下界の様子を視察するという名目でデブっ子を探すデブショタウォッチング。もう1つは仙豆という1粒食べると10日間は食事いらずな、豆を栽培することじゃ。実はこのカリン塔にいつか可愛いデブっ子が来たときに、この仙豆でお腹を一杯にしてあげるために作っておる! これは神様にもナイショのことじゃがのう。


●月△日 晴れ
あまりに退屈なのでストレッチをしていると、誰かが塔を登ってきおった。300年ぶりのお客じゃわい。しかも初めての少年! デブとはいかないまでも、ぷにっとしており、前の武天老師とは違ってかわええのう。ちなみに名前は「孫悟空」というらしい。いきなり触りたくなったのじゃが、そんなことをしたら、せっかくきた少年の心証を悪くしてしまう。「ほっほっほ」と心の中の高ぶりが口調にでないように仙猫らしく高笑いをしてごまかしてみる。超聖水を求める悟空に対して「はて、ここにあるかのぅ?」とはぐらかしてみたり、心を読んで悟空を驚かしたりと、会話を引き伸ばして、しばし楽しいときを過ごしたのじゃ。


×月□日 晴れ

今日から悟空と2人での楽しい生活が始まった。塔という限られた空間の中で、ショタっ子と2人で遊べると思うと、頬が緩んでしまって困るわい。わしはこの日が来ることを、どんなに楽しみにしていたことか。悟空の心は大空のように純粋で澄み切っている。こんな天然の子供がまだ下界におったとはのう。それにしても、わしから超聖水を取ろうと必死になる悟空のあどけなさは、筆舌に尽くしがたい。わしはドサクサに紛れて、悟空のチンチンやお尻を触りまくっていたが、これも修行の一環じゃ。わしは楽しくてたまらんじゃったのだが、悟空の成長は、わしの想像をはるかに超えていた。3年間は悟空と生活できるかと思いきや、悟空はたった3日で超聖水をわしから奪いおったのだ。なんたる誤算! あっという間に塔を去っていって悟空に、わしは涙を堪えることができなかった。仕方がない、悟空と過ごした3日間を思い起こし、それでわしの心をしばらく満たすことにしよう。悟空よ、カムバーク!


○月▲日 晴れ

数年経ったある日、事件は起こった。わしがカリン塔で鼻くそをほじっていると、ボロボロになった悟空を背負って、別の少年が塔を登ってきた。わしのことを思い出して、悟空が戻ってくれたこともうれしいのだが、悟空を背負った少年のなんとパワフルで重量感溢れることか。おまけにわしの大好きな赤いふんどしをしており、よく肥えておる。まばゆいはかりの原石のようじゃ。その少年は塔についた瞬間、疲れたのか倒れこみ、いきなりフンドシをチラチラと見せ付けた。わしの前でフンチラを平然とするとは、おぬし、やりおるな! わしはティッシュを鼻の穴につめて、止血するのに必死だったではないか! わしはなんとか心臓の鼓動を抑えながら、「よう!」と軽めに挨拶をする。ワイルドな小僧には、堅苦しい挨拶など不要じゃ。しかし、どうやらヒネくれた性格らしく、デブっ子の反応は良くない。だが、わしに焦りはなかった。こういうヒネくれ者こそ、心がつながった時には永遠の愛に変わることをわしは知っておるのじゃから。


△月○日 晴れ
あのデブっ子の名前は「ヤジロベー」というらしい。風来坊で、家族もいないようじゃから、ますますカリン塔に定住させたい。デブといえば食い気、そこでわしはさりげなく悟空に仙豆を渡した。するとヤジロベーも仙豆に興味を持ち、むさぼりついたではないか。30粒以上食いおったぞ。今日という日のために必死に栽培してきた仙豆とはいえ、こんなにも早くデブっ子の心をガッチリ掴むことになるとは。しかし、ヤジロベーは仙豆をうまいとは言わずに、ただ腹を膨らましただけだった。しかも「俺様はグルメなんだ。ただ腹が膨らめばいいってもんじゃねぇや」などと、たわけたことを抜かしおる! やはりモノで相手を釣る考えが浅はかであったか。「千里の道も一歩から」のことわざもある。ヤジロベーを一刻も早くわしのものにするために、他のプランを描くことにする。


●月△日 曇り

悟空とヤジロベーが超神水を取りに北の果てに出かけおった。せめてヤジロベーだけは無事に帰ってきて欲しいと、瓶の中を覗いていて様子を伺っていたところ、偶然にとんでもない場面に遭遇してしまった。なんと! 崖から落ちそうになったヤジロベーを悟空が救い、ヤジロベーは逆さでふんどしを丸出しにしているではないか。ええい、おぬしはなんというエロい格好を平然とするのじゃ。悟空よ、超神水どころではないぞ! そのままヤジロベーのふんどしを脱がしてしまえ!


×月□日 晴れ
悟空がピッコロ大魔王を倒した後、ヤジロベーと共にカリン塔に戻ってきおった。わしは悟空にねぎらいの言葉をかけたが、悟空はもはやどうでも良い。わしはヤジロベーと2人っきりになりたいのだ! 都合よく、悟空はドラゴンボールの復活を願っていたので、さっさと天界に送り、神様に会わせることにした。ようやく2人きりになったわしとヤジロベー。ヤジロベーをこのカリン塔にどうしたら定住させることができるのか、いまもこの日記を書きながら悩んでおる。


△月○日 晴れ

せっかくヤジロベーと2人っきりになれたのに、たいして会話が弾むこともない。ヤジロベーはムスッとしたまま「いまごろ、孫のヤツどうしてるかなー」などと、仙猫であるこのカリンを眼中にも入れておらん! そこで挨拶代わりにヤジロベーに「わぁ!」と声をかけて、イタズラしてやることにした。案の定、ヤジロベーは手すりから転げ落ちそうになったが、ここで思わぬ収穫。わしの目の前で、赤いフンドシを晒しおった。間近で見るフンドシの膨らみ具合から、ヤジロベーがかなりの巨根を持つことが分かったのじゃ。このままフンドシの膨らみを握ろうと思ったが、まだ機は熟しておらん。ヤジロベーは「なにすんだ、このネコが!」と怒っていたが、こうして会話することで、わしとヤジロベーは少し距離が縮まり、結果オーライじゃわい。


×月▲日 晴れ

悟空が天界で修行をしている3年間、不思議とヤジロベーはカリン塔を何度も訪れた。もしかして、わしのことを気に入ってくれたんじゃろうか。わしはヤジロベーが来るたびに仙豆を食べさせ、少しでも気を引こうとがんばった。しかし、ヤジロベーはなかなか心を開こうとはせんかった。
しかし、ある日ヤジロベーはジャングルで重症を負ったのか、ひどいケガでカリン塔に登ってきよった。わしはすぐに仙豆を食べさせたが、仙豆が全く効かん! どうやらヤジロベーの体を蝕んでいるのは毒らしい。わしはヤジロベーをベッドに寝かせ、毒消し草を調合して飲ませ、3日3晩寝ずに看病をしたのじゃ。ヤジロベーはうわ言のようになにかを呟いている。そうか、おぬしは普段は強がっているが、本当は心の中で誰かの優しさを求めておったのじゃな。わしはヤジロベーの手をしっかりと握りしめ、どさくさに紛れてふんどしの膨らみをペタペタと肉球で触りながら、わしの持つすべての気を送り込んだ。その甲斐あってか、ヤジロベーは驚異的な回復力をみせ、1週間後にはカリン塔を去っていった。だが、ヤジロベーは去る前に、照れくさそうに一言だけ「カリン、ありがとな」と呟いたのじゃ。あのヤジロベーが顔を赤らめて言いおったのだ。わしはやっとヤジロベーと心が通じた気がする。ヤジロベー、おぬしの家はこのカリン塔だぞ。また好きなときに戻ってくるがよい。


△月○日 晴れ

下界では第22回天下一武道会が開かれるらしい。神は悟空を「天界代表」として出場させると自慢してきおった。わしも負けられん。「カリン塔代表」としてヤジロベーを出場させることに決めたのじゃ。ヤジロベーは「なして俺が!?」と文句を言っておったが、優勝したらうまいもんをたらふく食わせることで、あっさりと合意しおった。しかし、ヤジロベーよ、どうしておぬしはへなちょこなマスクで、大会に出場しておるのじゃ。これでは変質者ではないか! カリン塔代表の面目丸つぶれじゃぞ。ヤジロベーの着物以外のコスプレを見るのも悪くはないのだが。それにしても神は「シェン」などという偽名を使って出場し、我がヤジロベーを予選で不意打ちにしおった。相変わらずやることがセコイのう。最も、そのおかげでヤジロベーの生着替えシーンを堪能することができたので結果オーライじゃった。


●月△日 曇り
珍しく神に天界に呼ばれたので、行ってみる。1年後、地球にサイヤ人がやってくるという。神は、わしの秘蔵っ子であるヤジロベーを天界に差し出せというのだ。最近は神もショタコンにハマっているらしい。ヤジロベーのようなデブは、タイプではないとは思うのじゃが、悟空を手中に収めてから神の様子がおかしい。まさか手当たり次第ということか。わしから可愛いヤジロベーを取り上げるつもりじゃな!と怒りを感じたが、神に逆らうことはできない。「はい」「はい」と適当に返事をして、ヤジロベーを涙ながらに天界に送ることにした。しかし、ヤジロベーがまともに修行をするはずもなく、神からは嫌われたようじゃ。神ごときに、ヤジロベーの愛くるしさが分かるまい。


△月○日 晴れ

地球の運命を賭けた悟空とベジータの戦いが始まった。ヤジロベーは見ているだけかと思いきや、ベジータの尻尾を斬りおとしたり、背中から斬りつけたりと、大活躍。すべてはわしの数年間をかけた夜の妄想教育の賜物じゃろう。あやつの成長ぶりを見ることができて満足した。しかし、ヤジロベーはベジータに殴れられてW字開脚を披露。さらにW字開脚のまま、殴られるという醜態を晒してしまったのだ。そんなヤシロベーのエロエロな姿にわしの鼻血は止まらなかったことは黙っておくとしよう。


×月□日 晴れ

ベジータが宇宙に逃亡した直後、わしらは悟空が倒れている現場に向かった。せめて生き残ったのがピッコロ大魔王であれば、ヤムチャや天津飯も生き返らせることができたのじゃが。そんな話をしていたら、ブルマが突然ブチ切れてヤジロベーに突っかかった。「アンタなんか逃げてばっかりで全然戦わなかったもんね! アンタみたいな役立たず、ピッコロの代わりに死んじゃえばよかったのよ!」。このアマ、わしのヤジロベーになんというひどいことをいうのじゃ。ぶっ殺してやろうかと思ったが、当のヤジロベーは大人じゃった。「俺がいなかったら、コイツらだって生き残っていなかったぞ。頭くるだー。グレてまうぞ、俺」といって、ブルマを特別に責めようとはしなかったのじゃ。おぬしは精一杯戦ったのじゃ。そんなことも分からないクズ女のことなど相手にせずに、早くカリン塔での2人の暮らしに戻るんじゃ。


○月×日 晴れ

クリリンの恋人の「マロン」という女がカリン塔にやってきた。ええい、こんな水着の女が神聖なカリン塔に足を踏み入れるなど言語道断。叩き落してやろうかと思ったが、クリリンや悟飯の前ではそうもいくまい。ここは仙猫の態度として丁重に扱うことにした。しかしマロンという女、突然賭けトランプをしようと言い出しおった。もちろん、わしは賭け事などせん! しかし、わしは閃いた。ヤジロベーの着物を賭けて、もし負けたら・・。さっそくヤジロベーと3人でトランプを開始。わしはマロンの心を読み、わざと負けまくり。わしの計略どおり、ヤジロベーをふんどし一丁の素っ裸にすることに成功したのじゃ。ヤジロベーの白いもち肌を、この目にしっかりと焼付け、永遠のメモリーにしたことは言うまでもない。


×月□日 雨

朝からヤジロベーがおらん。水がめを覗いてみると、あやつ、仙豆をもって北の氷の果てまで悟空を助けに行っておるではないか。口では「やっかいごとはゴメンだぎゃ」といいつつ、本当に素直になれんヤツじゃ。そうじゃ、わしには分かっておる。おぬしは本当は友達が心配で仕方ないんじゃろう。帰ってきたら、さりげなくヤジロベーを暖めてやるとするかのう。


△月○日 晴れ

数年が経ち、ヤジロベーはすっかりわしの良きパートナーとなった。めでたくゴールインというヤツじゃ。最近では悟空たちに、「カリン様とヤジロベーが結婚したってホントけ?」と冗談を言われる始末。しかーし、わしとヤジロベーは夜はあんなことや、こんなことをしておるのじゃ! ヤジロベーが実はマグロであることなど、誰も知るまい。いま、わしの横でスヤスヤと眠っているヤジロベーの寝顔を見て思う。わしはおぬしの全てを受け入れられる、世界で唯一のデブショタ専猫じゃ! 何があっても死ぬまで一緒じゃわい。


書いていて、我ながらかなりアホくさいと思ってしまった・・。


最後に

DRAGONBALLはすべてを視聴するにはあまりに長編である。しかし、デブショタ2大萌えキャラであるヤジロベーと少年期の悟空だけを見たいならば、初代のDRAGONBALLだけの視聴で済むので、忙しい人もまだ見られる範囲にあると思う。今回改めてDRAGONBALLを視聴して、一番おもしろいのは、ピッコロ大魔王編〜ベジータ編あたりかなと思った。人造人間編以降は、強さのインフレがハンパではなく、ヤジロベーもほとんど登場機会がないし、話としても今ひとつなのでそれほど見入ることはなかった。
ヤジロベーの萌えどころは、鳥山キャラ独特のコロコロ感とコミカルさ、ちらちら見え隠れするフンドシ。見た目の面が強い。しかし、素っ気無くみえる性格は、実は周りと自身を騙すためのフェイクであり、内心ではきちんと仲間を想い助けている心が理解できれば、さらに受けられやすいキャラクターになるのではないだろうか。

おそらく、ヤジロベーが主役の回(回想シーンなどの感動話)が一話でもあれば、ヤジロベーの一般的な評論は大幅に変わったはずである。同じ鳥山さんつながりで、「ドラゴンクエスト アベル伝説」のアベルとモコモコは、ヤムチャとヤジロベーが主人公で話が回っていると考えると、そちらのほうもかなり興味深い。

一般的にはヤジロベーとカリン様が友達だという解釈が多い。今回の考察では、ヤジロベーと悟空を親友とし、ヤジロベーとカリン様を親子関係のように妄想した。一般的とは異なる解釈だが、自分はこうだったらいいなと思う。

ヤジロベーが登場する話数とタイトルを以下に記しておくので、視聴したい方は参考にしてみてください。ちなみにヤジロベーの子供と思われる赤ちゃんが、カリン塔にたくさんいて、てんやわんやしている場面があったのだが、どこだか発掘することができなかった。もし知っている人がいたら、情報求む!

DRAGONBALL 初代
104 よみがえれ孫悟空!!
105 快男児・ヤジロベー登場!!
106 魔獣・タンバリンがやってくる!!
107 孫悟空・怒り爆発!!
108 ピッコロ大魔王・降り立つ!!
109 孫悟空対ピッコロ大魔王
110 がんばれっ!孫悟空!!
111 亀仙人の最後の魔封波!!
112 若がえるか!?ピッコロ大魔王
113 キングキャッスルの攻防!!
114 悟空のねがい!!カリン様もなやむ
115 手に入れろ!謎の超神水
116 生きていた亀仙人!?
117 孫悟空ついに発進!!
118 天津飯の決意!!
119 きまるか!?伝説の魔封波
120 悟空・怒りのフルパワー!!
121 孫悟空 最大の危機!!
122 最後の賭け!!
123 如意棒の秘密
124 雲の上の神殿
125 神様登場!!
126 よみがえる神龍!!
134 波乱の天下一武道会
135 選ばれた8人
148 やった!地球上最強の男

DRAGONBALL Z
08 月の輝く夜に大変身!悟飯パワーの秘密
17 明日なき街!勝利への遠い道のり
20 よみがえるサイヤ人伝説!悟空のルーツ
21 いでよ神龍!サイヤ人ついに地球到着
22 んなバカな!土から生まれたサイバイマン
30 限界を超えた熱い戦い!悟空対ベジータ
31 いまだ悟空!すべてを賭けた最後の大技
32 戦闘力10倍!!ベジータ大変身 隅沢克之
33 死なないで父さん!!これが悟飯の底力
34 撃てクリリン!願いをこめた元気玉
35 奇跡を起こせ!スーパーサイヤ人孫悟飯
36 飛び出せ宇宙へ!希望の星はピッコロの故郷
37 謎のユンザビット!神様の宇宙船を探せ
38 ナメック星行き発進!悟飯たちを待つ恐怖
90 ハッタリじゃねえぞ!!大胆素敵な奴・孫悟空
112 みんなの心を取り戻せ!!神殿に眠る超神水
115 効いたぜ超神水!!世界が悪夢からさめた
129 ベジータ強し!!目覚める超サイヤ人の血
130 20号の不敵な笑い…ドクターゲロの秘密
131 事実は未来より恐ろしい!?トランクスの疑惑
132 追撃!!ドクターゲロ 謎の研究所を探し出せ
133 そして恐怖が現実に…目覚める17号と18号!!
134 すべてが手遅れか!?悟空を殺す最終兵器
135 カワイイ顔で超パワー!?18号に死角なし
136 誰にも奴らを止められない…Z戦士全滅か!?
149 この日を待っていた!!セル・完全体への序曲
169 悟空の余裕!?休んで待とうセルゲーム
192 オラあの世で修業する!!笑顔の別れ
193 新しい日々…父さん!ボクがんばる
217 ビーデル無惨!!出るか怒りの超悟飯

DRAGONBALL GT
40 地球爆発!!ピッコロの重大な決意

DRAGONBALL 劇場版
ドラゴンボールZ 超サイヤ人だ孫悟空
ドラゴンボールZ とびっきりの最強対最強
ドラゴンボールZ 激突!!100億パワーの戦士たち



使用している画像、台詞等は「DRAGON BOX」「DRAGON BOX Z編」「DRAGONBALL GT BOX」より引用させていただきました。著作権は(C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーションに帰属します。

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