天城大地小説(1)


天城と真帆路の小説を書いてみました。
物語的にはイナズマイレブンGoの第33話「謎の敵!幻影学園!!」の前のあたりで、自分なりに勝手に改変してみました(笑)。


登場人物

天城大地。巨漢だが繊細な性格。真帆路との思い出が忘れられない。

真帆路(まほろ)。幻影学園のキャプテン。天城とは小学生のときに一番の友達だった。

影山。天城の後輩で仲がいい。デブ専で天城のことが気になっている。


人間は誰だって、一番楽しかった時を忘れない。
人間は思い出なしに生きていけないのだから。
でも、もし一番楽しかった思い出が、一番悲しい思い出に変わってしまったら・・。
心のキズは、計り知れないものになっているだろう。
小学生だった2人の少年に、植えつけられた悲しい思い出。
1人は希望を持ち続け、1人は沈黙し続けた。
そして時は流れて3年が経過した。
・・・。
・・・。


名門・木戸川清修に勝利した雷門中は、準々決勝に向けて特訓に明け暮れていた。
準々決勝の相手は、「幻影学園」。
謎の多いチームなだけに、監督となった鬼道はメンバーに厳しい練習を課していた。
鬼道の練習メニューは、まったくボールを使わないものだった。
スクワットやランニング、バランス練習・・。
天城に課せられたトレーニングは基礎体力の向上である。
元々体格の大きい天城は、パワーがあるが持久力に乏しかった。
だから、鬼道は天城にグラウンドを何十周も走らせた。


「走るの苦手だど!」
ただ走るだけの練習だが、天城にとっては地獄のような練習だった。
息が切れる、心拍数が上がる。
そして全身から汗が噴き出す。
初めは不満を漏らしていた天城だが、いまは特訓に耐えていた。
練習を投げ出すことは、鬼道監督から逃げることになる。
そして何よりも、天城は準々決勝のレギュラーを勝ち取りたかったのだ。
準々決勝の相手は、天城の幼馴染のいる「幻影学園」だったからだ。


しかし、いくら気合と根性があっても、足が棒のようになり呼吸が乱れる。
「もうダメだど・・疲れたど・・・」
天城はグラウンドの端っこで、大の字に倒れたまま動けなくなった。


「しばらく休ませて・・欲しいど・・」
幸いグラウンドの隅だったのか、チームメイトは気づいていないようだ。
天城は仰向けに倒れたまま、荒い呼吸を繰り返しているうちにウトウトとし始めた。





いつの間にか、すがすがしい風が吹いていた。
とても気持ちいい。
草の香りが心に染み入るようだ。
──「おーい、天城」。
誰かが呼んでいるような気がする。
「うーん、眠いんだど・・・」
「天城っ」
「・・・」
重いまぶたをゆっくりと開ける。
声の方向に視線を向けると、ぼんやりと赤毛の少年が目に入った。



元気よく天城に向かってくる赤毛の少年。
少しワンパクそうだが、目がキラキラとしている。
「ま、真帆路(まほろ)・・?」
「天城〜!」
少年は叫びながら、天城にあっという間に近づくと、勢いよくジャンプした。
そして、天城の大きなお腹の上に飛び乗り、馬乗りになる。
「わわっ!」
「天城、捕まえたぞー!」
天城は目を見開いて、赤毛の少年を見上げた。
「お前・・本当に真帆路・・なんだど?」
「決まってんだろ」
「そうか、俺たちやっぱり友達だったんだど!」
「何を当たり前のこと言ってるんだよ!」
その言葉を聞いて、天城の心臓はドクンと鼓動した。
思わず視線を横に逸らした。


天城が下で、真帆路が上の体勢。
天城は頬を赤らめながら、やり場のない視線に困っていた。
いま自分のお腹の上には、あの「真帆路」がまたがっているのだから。
視線を左右にオロオロとさせながら、やがて正面の真帆路に戻していく。
視界に入ったのは、天使のように明るい真帆路の笑顔だった。


「真帆路・・」
「天城、いつものアレ、やろうぜ!」
「いつものって・・」
「ホレ!」
真帆路はお腹にまたがったまま、両腕を伸ばしした。
天城の黄色いユニフォーム。
汗を吸っているためか、ユニフォームは天城の体の曲線をそのまま表現していた。
太っているために、上半身は緩やかな曲線を描いており、乳房の形が見て取れる。
真帆路ははその乳房の上に、ゆっくりと手を置く。
そして胸をやさしく撫ではじめた。
「あっ、ああ・・」
ずっと忘れていた、真帆路の暖かい手。
小さくて優しい手だ。
真帆路は天城の柔らかい乳房を、左右の手で同時にぐっと鷲掴みにした。
「ふわぁ、真帆路っ!」
「ここが気持ちいいんだろ?」
その言葉に、天城は恥ずかしくて火を吹いてしまいそうだった。
「そ、そんなことないど・・」


恥ずかしくて顔を真っ赤にさせる天城。
そんなことはお構いなしに、真帆路は笑顔で話しかけてきた。
「俺はお前のことが世界で一番好きだ」
大胆な発言だったが、真帆路は普段の会話と何ら変わらない様子だった。
しかし、天城は冷静でいられなかった。
なぜか心臓の鼓動が高鳴り、緊張して喉がからからになった。
かすれた声で返事をする。
「真帆路、急に何を・・」
「天城、お前は俺のことをどう思っているんだ?」
「そ、それは・・」
「へへっ」
にっこりと微笑んだ真帆路に対して、自然に言葉が出ていた。
「真帆路は大切な友達・・だど」
「どれくらい大切なんだ?」
「せ、世界で・・たぶん『一番大切な友達』・・だど・・」
「それなら、こんなことしてもいいよな!」
真帆路は小さく笑うと、天城の胸をユニフォームの上から、大きな乳房をグイグイと揉みしだいた。


「わぁ、天城の胸、小学生のときよりもでかくなってる!」
「は、恥ずかしいんだど・・・」
大きな体をユサユサと動かして、天城は自然と悶えていた。
ずっと忘れていた快感。
乳首から脳を突き刺すような刺激に、敏感に反応していた。
「真帆路、そこは・・ふあっ・・ダメだどっ」
「あはは、すごい気持ちいいんだろ?」
「はっ、あっ、そんなことないど・・」
「ふーん。じゃ、こっちは?」
そういうと、真帆路は片手を乳房から離して、背中に回す。
その手はゴソゴソと天城のズボンをさまよい、やがて目的の場所に達した。
「ここだろ?」
真帆路はニンマリと笑い、天城のチンチンと思われる部分をギュッと握りしめた。
「ひゃああ、真帆路、そこは俺の大切な・・!」
全身を電気で貫かれるような強烈な刺激に、天城は身震いした。


「真帆路、そこはダメだどっ!!」
「真帆路、まだ早いどっ!!」
「真帆路、真帆路ってばっ!!」



「天城先輩?」
「うーん・・真帆路・・・」
「先輩、起きてください」
「あ、あれ・・」
天城がゆっくりとまぶたを開けると、自分のお腹に馬乗りになった後輩の影山の姿。
「あれ・・俺はどこにいるんだど・・・」
「どこって、グラウンドの隅で倒れていたから、心配して見に来たんですよ」
「そ、そうか・・すまなかったど」


天城はゆっくりと起き上がる。
そして、気まずい表情のまま、影山につぶやいた。
「俺、なにか寝言を言っていたど?」
「さ、さぁ・・」
「そうならばいいんだど・・」
「すみません・・ボク、我慢できなくって・・」
「よく分からないけど、影山が謝ることはないど」
「それはそうなんですが・・」
なにか影山の様子がぎこちなかったが、天城は別のことを考えていた。
──自分は夢を見ていた。
影山に呼びかけられて、半分は消し飛んでしまったが、ぼんやりと余韻が残っている。
それは、とびっきり大切な、忘れてはいけない大事な思い出。
天城は体とは似合わない小さな声で、つぶやいていた。
「俺は・・・真帆路と戦うことが・・会うことが怖いど・・・」
・・・・。


真帆路との、数年前のの思い出。
その短い思い出が、天城の心の拠り所になっていた。
・・・。
しかし、楽しかった思い出が、いまとなっては悲しい思い出に変わっていた。
なぜ真帆路は口を聞いてくれなくなってしまったのか。
一方的に絶交されてしまったのか。
もし真帆路に会って話が出来れば・・・もう一度楽しい思い出に変わるかもしれない。
でも、それを確かめる勇気が、いまの天城にはなかった。
逃げていたのかもしれない。
真帆路が本当に自分のことを嫌いになったとしたら・・・。
その現実を、受け入れるのが怖かったのだ。




次回をお楽しみに。次の話を読む



戻る