雪山のブランゴ軍団を討伐する金太郎とジライヤだが・・?
登場人物
金太郎。足柄山で育った怪力少年で、モンスターと戦う見習いハンター。
ジライヤ。アイルーというネコ獣人で金太郎のサポート役。
金太郎は、背後にいるジライヤに尋ねる。
「首謀者って、どういう意味なんだぁ?」
「ブランゴが集団で襲ってきたということは、コイツらの親分の命令で動いているニャー」
「親分ってまさか・・ヒゲがビーンって偉そうに生えていて、悪そうな顔している、でっかいブランゴのことかぁ!?」
「そうニャ。ドドブランゴが本格的に動き出したニャー」
金太郎とジライヤは、いままでたくさんのモンスターと戦ってきた。
その中に、"ドドブランゴ"というモンスターがいた。
ブランゴを大きくしたモンスターで、"雪獅子の王"と異名を持つ、美しい白い毛並みをもったモンスターだ。
ここにいるブランゴたちの親分で、この雪山ではボス格として君臨しているらしい。
「なして、おいらのこと狙うんだ? おいらは悪いモンスターを倒しているだけだぞ」
「金太郎が強くて邪魔だからに決まっているニャ」
「アイツ、いままで戦った中で一番強かったからなぁ。おいらもう一度戦いてぇ!」
「ドドブランゴを倒さないと、雪山に平和が来ないんだニャ。だからアジトに案内するニャ」
「えーっ、戦ってもいいの!?」
「今回の依頼はブランゴの討伐だけど、この際、一気にドドブランゴも討伐するニャ」
「よーし、アイツがもう二度と悪さしないように今度こそお灸を据えてやらぁ!」
金太郎とジライヤは、ブランゴ軍団の中央で背をつけて話していた。
その間も、ブランゴたちはスキを狙って攻撃しようと、ジリジリとにじり寄ってくる。
しかし、金太郎にスキらしいスキはない。
ブランゴたちは金太郎の目を眩まそうと、ゆっくりと時計回りに歩き始めた。
金太郎は、そんなブランゴたちを見て、僅かな笑みを浮かべる。
「コイツら、またグルグル回るみたいだぞ! ジライヤ、花火みたいに光る玉くれ」
「閃光玉のことニャ?」
「そうそう、せんこう花火ってヤツ!」
「せんこう花火じゃないニャ! でも、囲まれた状況じゃ、全員を一発でピヨらせるのはムリだニャー!」
「いいから、いいから」
「閃光玉は調合するのが大変だし、貴重なんだニャ。
それに金太郎は閃光玉も使い方がとっても下手だニャ。音爆弾で時間を稼いだほうがマシだニャ」
金太郎は、ジライヤの言葉にプッと頬を膨らませて怒る。
「おいらにいい考えがあるの!」
「金太郎の考えは、いつもロクなことがないニャ」
「少しはおいらを信用してくれよ。音爆弾って音がボン!と鳴るヤツだろ?
あれじゃブランゴたちが一瞬怯むだけで、突破できないよ。だから使わせてくれよ」
「しかたない、また閃光玉が1つ無駄になるニャ・・」
ジライヤは大きくため息をつきながら、腰袋にしまってある黄色い小さな玉を金太郎に渡した。
ジライヤが腰にぶら下げている袋。
その中には、金太郎がモンスターと戦うときに役に立つアイテムが入っている。
閃光玉や音爆弾は、金太郎をアシストするための優秀なアイテムの1つだ。
これらの使い方によって、戦況が大きく変化する。
例えば、音爆弾はバンッと爆音を出して、地中や水中に隠れた敵を、びっくりさせて引きずり出すのに使うし、
閃光玉は相手の視界で爆発させて目を眩まし、その間に相手をボコッたり、時間を稼ぐときに使う。
アイテムはたくさん持ってくる方が有効だが、持てる数には限度がある。
どんなアイテムをいくつ持ってくるか。
本来、これは"ハンター"である金太郎のするべき役目なのだが、いまは相棒のジライヤにまかせっきりだ。
金太郎は閃光玉を受け取ると、ピッチャーがボールを投げるように振りかぶる。
「おいら、この玉を投げるの、いつも楽しくってさ」
「ちゃんとブランゴの目の前に投げて欲しいニャ。一匹もピヨらなかったら、もう閃光玉は使わせないニャ」
「今日はコントロールばっちりだから、任せてくれ!」
金太郎は腕を振り上げて、そのまま閃光玉を自分の真上に思いっきり投げ上げる。
その様子をみて、ジライヤはあ然とした。
「金太郎のバカ!! 上に投げてどうするニャ!?」
「これでいいの!」
金太郎のノーコンぶりに、さすがのジライヤも開いた口が塞がらない。
(やっぱり金太郎に閃光玉をあげなけきゃよかったニャ・・)
金太郎は人差し指を折りながら3秒間数えて、天に向かって指を一本突き出す。
そして、大声で叫んだ。
「あーーーっ!! UFOだ!!!」
『グォッ!?(なに!?)』
そこにいるブランゴ全員が思わず、釣られて上空を見上げる。
その瞬間、真上に投げた閃光玉が爆発した。
爆発した玉が、まるで太陽のような強烈な光を放つ。
『グワァーーーッ!!!!』
ブランゴたちはまぶしい光に、目を眩ませてショック状態に陥った。
全員が千鳥足となり、その場に倒れこんでしまった。
「やった、全員ピヨったー! ブランゴまとめて一丁あがり!」
閃光玉で目を眩ませて倒すことを、金太郎とジライヤは勝手に"ピヨる"と呼んでいる。
金太郎の幼稚とも単純ともいえる作戦だったが、それがまんまと成功したのだ。
第3話「華麗なる雪獅子・ドドブランゴ登場」をお楽しみに。次の話を読む
おまけコーナー
アイテムの効用
MonsterHunterの面白さの1つがアイテムの使い方。アイテムは100種類以上あるが、主に使うものは、体力を回復させる「回復薬」、一時的に攻撃力をあげる「怪力の種」、一時的に防御力をあげる「忍耐の種」、寒さから身を守るための「ホットドリンク」などである。一流のハンターはその場の状況に応じてアイテムを使いこなさなければならない。
本編で登場する「閃光玉」は対モンスター用として最も効果を発揮するアイテムで、投げると玉が割れて、衝撃で光蟲が強烈に発光、周囲のモンスターの目をくらますことができる。ほとんどの小型モンスターは気絶し、大型モンスターも視力が戻るまではやや大人しくなるというスグレもの。ただ敵の視界に投げ込むのはかなりコツが必要で、当然目が見えないモンスターには通用しない。