ようやくエロ小説らしくなりますので・・(^^;汗
登場人物
金太郎。足柄山で育った怪力少年で、モンスターと戦う見習いハンター。
ジライヤ。アイルーというネコ獣人で金太郎のサポート役。
ポッケ村の村長。クエストをハンターに依頼する。
金太郎がドドブランゴを倒してから、一ヶ月が経とうとしていた。
その間、小さなクエストの依頼はあるものの、ボス級モンスターの目撃情報はなかった。
金太郎は、たびたび密林や沼地にザコモンスターを倒しに行ったが、
モンスターたちは金太郎にまともに立ち向かう様子はなく、まるで金太郎の実力を探っているようだった。
・・・。
その一方で、ポッケ村には新たな訪問者があった。
なんと、一流のハンターと名乗るものが現れたのだ。
その者は身の丈が2mを超え、いままで見たこともない屈強な体躯を持つ男だった。
彼は金太郎とは違って、鎧と大剣に身を固めて、立派な井出達をしており、
いかにも"ハンター"という名前が似合いそうな武人だった。
金太郎がいくら強いとは言っても、所詮は子供だ。
ポッケ村を守るハンターが"子供"では情けない。
だから村人たちには、"立派な大人のハンター"に守ってもらいたいという願望があった。
そして、新たなハンターの実力に期待をした。
・・・。
彼は村人の期待に応え、雪山にいるブランゴの残党を次々に掃討した。
そのため、雪山はすっかり平和になり、村人は安心して雪山に出かけて、草木を採取できるようになった。
<新しいハンター様のおかげで、雪山に平和が訪れた>
<彼は村の英雄だ>
村のみんなが金太郎のことを忘れて、新しいハンターをチヤホヤとした。
村長からクエストの依頼は、なぜか金太郎ではなく新たなハンターに依頼され続けた。
そして、どこからともなく噂が流れ始めた。
<子供がハンターになること自体がおかしい>
<ドドブランゴを倒したのは、きっと偶然だ>
<いや、ドドブランゴはジライヤが罠にかけて倒したのだ。金太郎の実力のはずがない>
よからぬ噂に、金太郎の心中は穏やかではなかった。
金太郎は噂を聞くたびに、グッと唇を噛み締めた。
そんな金太郎の姿を見て、ジライヤは自分も悲しい気持ちになったが、同時に金太郎を常に励ましていた。
「金太郎、なにを落ち込んでいるニャ?」
「だって、おいらにクエストの依頼が回ってこないんだもん・・それに・・」
「それに、何だニャ?」
「おいらがドドブランゴを倒したのに、みんなが変なことを言うんだ」
「変なことって?」
「ジライヤがドドブランゴを罠にかけて倒したとかさ・・。おいらが実力で倒したのに・・」
「金太郎はまだ子供だから、そういう風に見えてしまうニャ。気にしないニャ!」
「気になるぞ。それに新しいハンターってやつ、本当にモンスターを倒してるのか? 一度も捕獲してないぞ」
「他人のことは気にしないニャ。地道に体力アップするニャ!」
「うーん・・」
ジライヤの言葉を聞いて、金太郎はしばらく考え込む。
そして何かを思いついたのか、ジライヤに尋ねた。
「なぁ、ジライヤ? おいら、憧れているハンターがいるんだ」
「それは初耳だニャ」
「全身が金色に光る伝説のハンターだ。ジライヤは知ってるか?」
その質問に、ジライヤの返事が一瞬遅れた。
「・・し、知らないんだニャ」
「カッコイイよなぁ。おいらも金色に光って、モンスターやっつけてー!」
「ただの伝説だニャ。そんなの出来るわけないニャ!」
「なんだよぉ、ムキになって。
おいらは無敵だ。絶対に誰にも負けねぇ。世界で一番強くなるんだもん。
だから、そのうちに金色に輝けるようになるもんね! 伝説のハンターになってボスモンスターを倒すんだ」
「そんな考えはすぐにやめるんだニャ!! 無敵なわけないニャ! 金太郎だって油断すれば死ぬニャ!」
「どうしたんだよぉ・・。そんなに顔を真っ赤にして怒ることないじゃん」
「いまは村のために一生懸命戦うニャ!」
「でも村の人たち、最近はおいらのこと・・」
ジライヤは、金太郎がこの先に何を言いたいのか理解できた。
最近、妙な噂で村人たちが金太郎に見向きもしなくなり、金太郎の心に変化が起きているのではないか。
だからジライヤは不安だった。
金太郎と村人たちとの間に不協和音が発生したときに、何か悪いことが起こるのではないかと。
──ある日のこと。
金太郎とジライヤは、ポッケ村から数km離れた場所にある『ポッケ牧場』にいた。
ポッケ牧場は村が運営しており、ハチミツが取れる小屋や、鉱山を発掘できる岩盤、そして魚の釣り場などがある。
また、その畑で取れる食料は村人たちの貴重なものであった。
「おーい、ジライヤ!」
「なんだニャ?」
「ここの岩に裂け目があるぞ? ここをピッケルで掘ったら、なんか出てくるんじゃないのかなぁ?」
「じゃ、さっそくやってみるニャ!」
金太郎はまるで採掘者のように、ピッケルを振り上げて岩の裂け目を叩いていく。
ガシャン、ガシャンと金属と岩がぶつかり合う音が、何度も響き渡る。
「あー、なんかボロッと落ちたぞぉ!」
「おおーっ、これはマカライト鉱石だニャ。この鉱石はポッケ村の名産で、武器や鎧の素材になるし、高く売れるニャ!」
「本当かぁ?」
「金太郎、よくやったニャ」
「そ、そうかぁ? やっぱりおいら、天才かなぁ?」
(誉めるとすぐに頭に乗るニャ・・)
「金太郎、もっと掘ってみるニャ!」
「うん。わかった!」
ジライヤは、さらに金太郎に発掘を続けさせる。
一見すると地味にみえる採掘作業だが、実はただのボランティアではない。
クエストがない日には、ポッケ牧場でピッケルを振ることで、貴重な鉱石が取れて、体力のアップも図れる。
釣り場で珍魚を釣りながら、その日の食事が取れて、集中力も養われる。
閃光玉の素材となる光蟲を虫あみで追えば、足腰を鍛えながら忍耐力もつけられる。
ポッケ農場はハンターのスキルアップと、物資の調達をいっぺんにできる、一石二鳥な場所なわけだ。
金太郎が新しいハンターのことでイライラとしていたため、
ジライヤはポッケ牧場に金太郎を連れてきて、修行に集中させようと考えていたのだ。
<た、た、大変だぁ!>
<助けてくれぇ!>
金太郎とジライヤが、鉱物探しに夢中になっていると、なにやら大勢の村人の声がする。
金太郎がおでこに手を当てて遠くを眺めると、村人たちがポッケ牧場に向かって駆け上ってくるのが見えた。
「おーい、おいらはここにいるぞ! なにがあったんだぁ?」
<ポッケ村が襲われている!>
「な、なんだって!?」
金太郎はそれを聞くなり、慌ててマサカリを手に取り、ポッケ村へ戻ろうとする。
すると村人からの声が耳元に届いた。
<いま村長がそちらに向かわれている。ハンターは勝手な行動をしてはならないと、おっしゃられている>
「村長が? でも村が壊されちまうんじゃねーのか!?」
確かにポッケ村のルールでは、ハンターはクエストの依頼がなければモンスターと戦うことはできない。
金太郎は地団駄を踏みながら、村長が到着するのを待つしかなかった。
しばらくすると一匹の貧相な馬が、荷馬車を引きずりながら到着した。
村人が、荷台から村長を抱えてその場に丁寧に降ろす。
金太郎とジライヤは、すぐに村長のところへ駆け寄った。
「婆ちゃん! ポッケ村が襲われているって本当か!?」
すると村長はいつもの様子とは違って、厳しい顔つきで口を開いた。
「緊急クエストじゃ」
「き、きんきゅう? なんだそれ、初めて聞いたぞ!?」
「緊急クエストは、報奨金はいつも倍じゃ。ただし、敵も手ごわいぞ」
その言葉を聞いて、金太郎は拳にギュッと力が入る。
「うおおお、強いモンスターが出たのけ!? おいら、緊張してオシッコしたくなってきたぞぉ!」
「単なるバカニャ・・」
「それで、どんなモンスターだ?」
久しぶりのクエストが緊急の大仕事なので、金太郎は興奮気味のようだ。
金太郎は村長をせかすように、唾を飛ばしていた。
「婆ちゃん! もったいぶらずに早くしてくれよぉ! 村を救うんだろ?」
「今回のクエストの依頼主はこのオババじゃ。
そして内容はポッケ村を襲っているモンスターとその黒幕の討伐じゃ。受けてくれるかのう?」
「あったりめぇだ!」
しかし、金太郎は少しスネた表情で呟く。
「でもさ、新しくきたハンターさんに頼めばいいじゃんか? どうせおいらは子供なんだろ」
「それが、あのハンターはニセモノだったのじゃ」
「な、なんだって!?」
金太郎の顔が、一瞬凍りついた。
ハンターと名乗るものは正々堂々としていて、人間の見本となるような立派な人間であると信じていたから。
「実はポッケ村は、古龍から取れる"黒いかけら"を集めて作られた石で、結界を張っておる。
村の周囲にある石のおかげで、村にはモンスターが近づけないようになっておるのじゃ」
「じゃあ、どうして村が襲われたんだ!?」
「手引きをしたのはあのニセモノのハンターじゃ。あのハンターが貴重な石を奪ったのじゃ!」
「どうしてそんなことを!?」
あまりの突然の事態に、金太郎とジライヤは顔を見合わせた。
第9話「金太郎生け捕り作戦A〜失われた絆」をお楽しみに。次の話を読む