金太郎 in MonsterHunterPortable2ndG (14)


ババコンガに捕われた金太郎の運命は・・?


登場人物

金太郎。足柄山で育った怪力少年で、モンスターと戦う見習いハンター。

ババコンガ。沼地のボスで悪知恵が働く。爆裂オナラが武器。


往々と茂る緑の大樹。
吹きつける風に、枝が擦りあう音だけが周りを支配する、不思議な空間。
暖かい日差しの中で、一匹の大きなクマが大樹に寄りかかっている。
ひなたぼっこをしているのだろうか?
「あれ、おいらは・・?」
<ペロペロ・・>
「まさかクマ五郎!? 生きて・・生きてたんだね!」
<ペロペロ・・>
「あはっ・・・くすぐったいよ・・!」
クマはお腹の上に、素っ裸の金太郎を抱っこするように両手で抱えていた。
金太郎の首筋を、気持ち良さそうに舌を伸ばして舐める。
「きゃははは」
<ペロペロ>
金太郎は後ろをチラッと見ながら、話しかける。
「ねぇクマ五郎? おいらもっと強くなるために、いまポッケ村ってところでモンスターと戦ってるんだ」
<・・・?>
「あれから、おいら強くなったよ。おいらが足柄山に戻ったら、また一緒にいてくれる?」
金太郎の言葉に、クマはうなづいたように見えた。
クマは金太郎をギュッと強く抱きしめると、さらに頬や背中をペロペロと舐めていく。
「きゃははっ、クマ五郎、ありがとう。おいらの一番大切なところ、舐めてくれるかな・・?」
クマはまるで金太郎の言葉が理解できるかのように、優しい表情になる。
そのまま金太郎の大切なところに舌を伸ばし、ペロペロと優しく舐め始めた。
「あぁっ、気持ちいい・・。クマ五郎だけが、おいらのことを分かってくれる・・クマ五郎だけが・・」
そのまま金太郎は、大きく息を荒げてクマに体をあずけていた。
・・・。
・・。


ポツンと滴る水の音に、金太郎は目を覚ました。
(あれ・・ここは・・?)
ぼんやりとした視界から、暗い鍾乳洞のような場所にいることがわかった。
おそらくババコンガの根城である、沼地の鍾乳洞だろう。
どれくらいの時間が経ったのだろうか?
金太郎は視線を上下に向けると、自分はX字の十字架のようなものに、手足を固定されていた。
(そうか・・おいらはババコンガとフルフルに、負けたのか・・。
  おいら、いままで自分が負けるなんて、一度も考えたことがなかった。
  ジライヤの言うことを聞かずに勝手なことをしたから・・。
  これからどうなっちまうんだ・・。モンスターが来る前にここから逃げないと・・)
金太郎は必死に手足の拘束を外そうとしたが、束縛を解くことはできなかった。
(どうなってんだ・・力が入らねぇぞ・・)
体のキズは癒えているのに、なぜか力が入らない。
音爆弾や閃光玉で目や耳をやられたが、いまは目も見えるし、周りの音も聞こえる。匂いも分かる。
しかし、動こうとしたが、手足が思ったように使えなかったのだ。


そのとき一本のタイマツの明かりが金太郎に近づいてきた。
ノシリノシリという足音を立てて、金太郎の目の前に歩いてくる。
(もしかして、ジライヤが助けにきてくれたんじゃ・・?)
一瞬、金太郎の顔がほころんだ。
しかし、タイマツの明かりがボッと燃えて、鍾乳洞全体が明るくなると、そこには憎きモンスターが立っていた。
『金太郎、よく眠れただべか?』
「ババコンガ!」
ババコンガの顔を見ているだけで、ポッケ村でまんまと罠にハメられて散々にやられた屈辱が蘇ってくる。
金太郎は、ギュッと唇を噛んだ。
『あれだけ痛めつけたのに、すっかり元気だべな。
  どうやらお前は普通の人間と違うだな。おそらく俺たちモンスターに限りなく近い存在だべ』
「おいらは人間だ!」
『なぁ、金太郎? どうして俺たちモンスターが存在するのか、考えたことがあるだべ?』
「そんなの知るもんか!」
『人間ってのは愚かだ。お前が人間のために戦っても、最後の最後に裏切られるんだべ。
  お前は都合のいいように使われて、ポッケ村の村人と村長に利用されているんだ。
  きっといつかお前にも、分かるときがくるだ』
「訳わかんねーこと言うな!」
金太郎は手足の拘束を外そうと、上下左右を見渡してみる。
自分はX字にハリツケにされており、両手足に白いナメクジのような生物が巻きついていた。
輪のように手足に絡みつく生物は、ポッケ村の村人の首筋に巻きついていたものと同じだった。


金太郎は気味の悪い生物を見て気分が悪くなった。
『フフフッ、その白い生物がなんだか知りたいだべ?』
「くっ・・」
『フルフルベビーといって、フルフルの赤ちゃんだべ。噛み付いて人間の体力を奪い取るのだ』
「!!」
『お前がどんなに体力を回復しても、すぐにフルフルベビーが力を吸収するべ。だから絶対に逃げられないだ』
「お、おいらをどうするつもりだ!」
額に汗を垂らしながら、怒鳴る金太郎。
顔を紅潮させる金太郎を見て、ババコンガはどこか楽しそうな顔を見せた。
『お前、よく見ると本当に可愛いだな』
「う、うるせー!」
『お前が寝ている間に、フルフルの唾液でベトベトだった顔を綺麗に舐めてやっただ。
  お前、クマがどうのこうのって、寝言を言っていたが、なんのことだべ?』
「うっ・・」
『フフフッ。まぁ、いいだ。しかしお前は胸がでかくて、肌がスベスベだな。
  顔を舐めたときに、ミルクのような味がしただ。
  汗で肢体に纏わりつく「金」の字の腹掛けも、そこから覗くチンチンも・・。お前はどこを食ってもうまそうだべ』
「へ、へ、変なこというなっ!」
『お前はこれからドドブランゴのアニキの仏前で、可愛い声で喘ぎながらたっぷりとよがるんだ。恥辱にまみれてな』
「ち、ちじょく・・?」
いままで聞いたことがない言葉に、金太郎は不審な顔つきをする。
「まずはお前のことを、もっと知る必要があるだな。
  お前のことはいろいろと調べたが、まだ分からないことがたくさんあるべ。だから質問に答えろ』
「答えるもんか」
『お前はどこから来たんだ?』
「おめーなんかに言う必要はねぇもん」
『ふーん、そうかそうか。じゃ仕方ないべな』


ババコンガは尻尾に巻きつけてあるキノコを、金太郎の目の前に差し出した。
『うまそうなキノコだろ?』
「な、なにすんだ・・?」
ババコンガはキノコを手に取ると、そのまま金太郎の口に強引に押し込む。
『ほれ、うめーぞ。喰え!』
「うぐぐっ・・やめっ・・あががっ・・ゴクッ・・」
毒でも入っていそうなキノコを、ムリヤリに食べさせられてしまった金太郎。
「ゲホッ・・ガハッ・・いまのなんだ・・?」
『俺様が作った自白作用たっぷりのマヒダケだべ。さぁ、答えてもらおう。お前はどこから来た?』
「誰が言うもんかっ」
金太郎は口を貝のように閉じて、ババコンガの質問攻撃を無視した。
しかし、突然気持ちが高揚しはじめ、ババコンガの言葉が頭の中で何度も反響したのだ。
「どうしたんだ・・・急に気分が・・」
『へへへ、効いてきたみたいだべ』
「あ・・うっ・・」
『金太郎、お前はどこから来た? なぜ戦う? どうしたら俺に従うだ?』
「おいらは・・」
『さぁ、答えるだべ!』
金太郎の目がウツロになり、なぜか口が勝手に動いていた。
「・・おいらは・・足柄山から・・来た・・」
ババコンガは金太郎が全身を脱力させて口を開く様子を見て、満足するようにうなづいた。
『フフフッ、マヒダケの効力が効いたようだべな。どうして足柄山から来たんだ?』
「・・・死んだ母ちゃんに、強くなれって言われたから・・」
『なるほどな。母親の遺言で、強くなるために戦っているべな? だからポッケ村に来たのか?』
「そうだ・・。おいら、足柄山の動物は全部やっつけて子分にした・・だから強い相手を求めて来たんだ・・」
『ほほう。ちなみに、その「金」と描かれた腹掛けはなんだべ?』
「これは・・・母ちゃんがおいらのために作ってくれた・・・たった一つの形見だ」
『だからお前は鎧を着ないで、ずっとその格好で戦っているだべな?』
「うん・・。おいらが"金色に輝くハンター"が好きだったから、おいらの名前と掛けて「金」って付けてくれてんだ・・」
『"金色に輝くハンター"だと? ほほう・・驚いただな』
金太郎はウツロな目をしたまま、ハァハァと息を荒げた。
そして、ババコンガの質問に声を絞り出していた。


次回、第15話「金太郎とクマ五郎、暴かれた過去」をお楽しみに。次の話を読む



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